重層的非決定?

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2009年08月30日

■ そして肝心なのは歌

歌、の前に衣装。基本的には二人ともディナーショーらしい、華やかなドレス(高橋愛 紫→黒、新垣里沙 黄→ピンク)なのだが、衣装替え後の高橋愛の衣装、これが黒の短めのスカートに赤いストッキング、黒くて小さい帽子、ちょっと小悪魔っぽい雰囲気。これが一風変わっていて、またあとのパフォーマンスにも効いていた。

歌。一言で言うと「もう何か違うね」、と。何とというと、例えば「アイドル」とか、そういうものと。だからといっていわゆる「歌姫」というのとも違うんだけれども。でも既存のアイドルの枠組みでモーニング娘。を語っている人とはまあもう話は合わないな、と。分かっていたことをあらためて再認。

新垣里沙と高橋愛。この二人は歌い手としての立ち位置はある意味対極。目の前にいるファンに向かって歌を歌うのが新垣里沙。ある意味歌い手の本質。一方高橋愛は、いろいろな言い方があるだろうけれども、ある意味では自分志向で歌いたい歌を歌うとも言えるし、さらに大仰に言えば神に向かって歌を歌う、とも言える。客志向の新垣里沙に対して、作品志向の高橋愛、とでも言えばよいだろうか。

「真夏の光線」。初期モーニング娘。夏の定番曲。キラキラ輝くような美しい日本の夏、という雰囲気の曲。新垣さんがメインパート。元気があって、声も大きく、楽しい。ただハモリの高橋愛との声の大きさのバランスはいまいちだった。このあたりの呼吸はたとえば安倍なつみ・保田圭の方に一日の長があるかも。

「真夏の夜の夢」。上手い。こちらの方がハモリのバランスは良かった。

「三日月」。ここからは新垣里沙ソロ。藤本美貴バージョンを何回か聞いたのだけれども、ずいぶん見えてくる世界が違う。藤本さんの三日月は強い光の中にもどこかもろさを感じさせるのに対して、新垣さんに三日月は力強い。どっちの三日月がこの曲本来の世界観に近いのかは分からないけれど(オリジナルを知らないので)。

「声」。新垣さんが歌が上手いのも、この曲を歌いこなせるのも知っていたけれども、これほどにまで胸にしみるとは思っていなかった。元気なガキさんらしからぬしっとりとした歌い回し。軽く泣ける。

「サンキュ」。ファンへの感謝、という選曲。難しい歌なのだと思うけれど、何の違和感もない。十分に歌いこなせている。

「愛と太陽につつまれて」。再び高橋愛が合流。二人ともキラキラと輝いていて、とても可愛らしい。「歌姫」ではない。もちろん歌は安心して聞ける。

「The Rose」。ここからは高橋愛ソロ。東京でのセットリストを聞いて、ネットで調べて、どんな曲かを確認。とても有名な曲。私も歌詞はともかくメロディーは口ずさめるぐらい。私がネットで見たのは手嶌葵さんがカバーしているバージョン。訥々と切なく、上手い。これはハードルが上がってしまった、と思った。高橋愛の「The Rose」はとても澄んだ歌唱。手嶌さんを超えているとは思わなかったけれども、十分良かったと思う。

「Stuck」。ソロ3曲の中で、おそらく高橋愛が一番歌いたくて選んだ歌と思われる。どういう世界を表現したいのかが明確。これは衣装、踊りと全部込みで感じるべき曲。衣装替えをしたあとのちょっと小悪魔っぽい雰囲気が最高に生きる。さびのところでスカートをぎゅっと握る振りとそのときの表情がとてもエロティックで格好いい。新垣さんの「声」が感情に訴えかける歌唱とするならば、こちらは脳天に訴えるパフォーマンス。なんというか、ぐっと来た。

「冷たい海」。高橋愛がオーディションで歌った曲。昨年の安倍なつみバースデーコンサートでやはりオーディション曲「Face」を歌ったのに匹敵するサービス選曲。オリジナルはちょっと思い出せないが(メロディーは聞き覚えがある)、高橋愛の澄んだ声が深く澄んだ海を想像させてくれる。このときにステージから降りて通路を練り歩く。ただでさえ近くで見られているのに、本当に間近を通る高橋愛の顔をつくづく見たり、後ろ姿の露出多めの背中を見ほれたり。耳よりも目に神経が行ってしまったのがちょっと残念かも知れず、それはそれで仕方がないとも思ったり。

新垣里沙が再び合流してのメドレー。「しょうがない夢追い人」→「シヤニムニパラダイス」→「サマーナイトタウン」。娘。の曲だが二人でもきちんとハモって不足感がない。最後の「サマーナイトタウン」は本家安倍なつみと保田圭バージョンをディナーショーで聞いているけれども、遜色なし。曲の雰囲気・世界観からして、今のモーニング娘。として歌っても十分いけるはず。

ラスト「歩いてる」。素朴な曲だけれども、この二人の締めくくり曲としては上々。とても楽しく前向きな気分でさようなら。

最後はバンドメンバーと手を繋いで万歳。高橋愛と新垣里沙、そしてモーニング娘。のことがますます好きになりました。

■ 肝心なのはショー

ランチタイムのあとは場所を変わってショー。

普通のディナーショーは食事をした大広間でそのままショーとなるが、今回は「シアター形式」の会場。要するにライブ会場。ステージが前にあって、座席がずらっとステージに向けて並んでいる。座席数は360余り。最後方席でもそこそこ近かった、はず。ディナーショーとしての醍醐味などは全くないが(乾杯をするとか)、ライブを楽しむ、ということならこちらの方が上か。実際音響は普段のディナーショーよりも良かったように思う。

そして私の座席。一般プレイガイドで取った席なので全然期待していなかった。ところが前から2列目のほぼ中央。コンサートならオークションで結構な値段が付くような席。なんだか2万円なんか簡単に取り返せそうな気がしてくる。

客。想像していたよりは良かったように思う。といっても私は前の方の席で、全体の様子は見えていないので確証はない。でも安倍なつみディナーショーだったら必ずいる大きく手を振りかぶっての振りまねをする人もいなかったし、曲中の私語もなかった。所々でよけいな掛け声はあったけれども、進行を妨げるほどでもなかった。

MC。韓国での目撃談があったようだが、仕事かと思いきや、プライベートでの旅行。愛ママとガキママと4人で行ったらしい。テンション高く旅行の話をする二人。お互いのママのおかしな行動やらなんやら。

韓国の地下鉄はちょっと不思議なところで、時間が来ると人が中にいてもシャッターを閉めようとする。ママも必死で走って、何とか滑り込みで外に出られた、とか。

また初ディナーショーで緊張する新垣里沙に高橋愛が「大丈夫やて〜」と励ました話。高橋さんも本当はそれほど余裕はなかったが、自身の初ディナーショーの時に、そのときいっしょにやった保田さんに同じように励まされて助けられたから、同じように言ってみた、とか。

2007年、保田圭、矢口真里といっしょにディナーショーに出たときは、高橋さんはやはり堅くて、MCもぎこちなかったけれども、「年下が好き」と言うだけあって、新垣さん相手にはとてもリラックスして楽しそう。もっともしゃべっているのはほとんど新垣さんなんだけれど。

肝心の歌のパフォーマンスについては次。

■ ランチショー

モーニング娘。プレゼンツ 高橋愛・新垣里沙プレミアムサマーランチショー、昼公演から帰宅。

えーと、ディナーなんてどこにもありませんでしたよ。冷えたビザとサンドウィッチと白身魚のカルパッチョと豚肉のカレーソースがけだけ(どれも一口ずつ)食べられました。普通のレストランだったら800円でも高いと思う量と味。食事時間2時間の設定で開始30分足らずで料理がなくなりました。一回だけ補充があったが、それが焼きそば。それも一瞬でなくなる。

私が食したのはそれプラス赤ワイン(安物)一杯にオレンジジュース(あまりおいしくない)、珈琲とひたすら甘いプチケーキ。まあ、ホテルという場所代を含めて3500円てとこかな。その価値は全く感じないけれど。というわけで、甘く甘く計算してもショー代16500円也。さあ、ハードルが上がりましたよ、と。

そもそも2万円という料金設定が間違っていたのだろう。「モーニング娘。」ってことでホテル側がなめたのか、アップフロント側が安くで突っ込んだのか。ディナーショーでこのサービスはないし、これでは安かろう、悪かろう、だ。「リーガロイヤル」というホテルの名前に傷が付くレベル。2万円でこのサービスしかできないのなら料金設定をもっと上げてでも、ディナーショーといえるものを提供したほうがよい。今日のサービスだったら、梅田で1500円で生ビールとランチを食してショーだけ見に来た方が幸せになれる。30分で食事を終わったあとの90分足らずの時間が暇すぎる。繰り返すが、断じて今日のはディナーショーではなかった。

2009年08月29日

■ お勧めしないお勧め

小ネタ一つ。

Web放送アメーバスタジオでモーニング娘。9人のソロ放送。各メンバーがファンに質問を募集。

  • 『田中れいな』への「普段聞けない質問、ご意見」
  • 『道重さゆみ』への「お悩み相談、ご要望」
  • 『亀井絵里』への「教えたい四字熟語、又は亀井絵里に似合う四字熟語」
  • 『新垣里沙』への「普通の質問、まじめな質問、ふざけた質問」
  • 『高橋 愛』への「さまざまな質問、ご意見」

えーと、愛ちゃん、やる気あるんですか?何かお役所みたい。

そして放送。

「福井でおすすめの名所」という質問に対する回答。

「東尋坊です。これは自殺名所なんであんまりあれなんですけど、ちなみに私は行ったことないんですけど」。「あまりおすすめはしないですけど。はい。そんな感じかな」。

いや、やっぱりこの娘はちょっとおかしい。

■ なんちゃって恋愛

購入品記録。

ハロプロデジタルブックス。今月(もう終わりだけど)は高橋愛写真集「もう一つの愛」より。一年以上前の写真集というのがちょっとあれだけど。どうせなら写真集発売から2ヶ月ごとかそれぐらいの間隔で出してくれた方が嬉しい。でも今回は写真集本体よりも好きな写真が多くて、結構満足。

モーニング娘。新曲「なんちゃって恋愛」。もう発売日からだいぶんすぎているけれど。購入したのはちゃんと発売日。各バージョン一枚ずつ、計四枚。まんまと複数枚商法にのせられているな、と。おまけに滋賀での握手会で一枚余分に購入したので結果的に五枚。何だかなあ、と自分でもちょっと思うけれど、ほとんど地元の滋賀でやられては、地元ファンとしては乗らないわけにも行かない。

曲自体は今年に入ってからの一連の流れに沿った曲調。特定「ハロプロ」ファンからは「辛気くさい」、「テレビ公開録画で披露した際も一般人も全然乗れていなかった」とか文句を言う人多数。「盛り上がらない」曲はすべて駄目という単細胞的反応をするハロプロファンならではの低評価。でも一般人ブログではこれまでにない好評ぶりのよう。案外おちゃらけてなくて、歌、ダンススキルも高くて、フレーズが頭に残る、と。ミュージックステーションに出演したのが良い宣伝になっている様子。こんなことなら昨年の「リゾナントブルー」の時からきちんとメディア露出して、リリースを継続しておけば、、、などとかえらぬことを思う。

「映像ザ・モーニング娘。シングルクリップ」。リゾナントブルー以降の曲のPV集。楽曲的には「ペッパー警部」だけがちょっと浮いている感じはあるけれど、PVとしては結構まとまったものとして見られる。ああ、いまの娘。っていいな、とあらためて思う。

ついでに五枚購入してしまった「なんちゃって恋愛」。新曲発売イベントが横浜と名古屋で開催される。前作に引き続き、大阪スルー。名古屋まで行くのもなあ、と思いつつ、これもまたお祭りみたいなものだし、と思って応募。当選してしまった。名古屋まで行くのか。うーむ、想定外の出費がまた増えた。今年のハロプロ予算枠オーバーはほぼ確実か。未だ何の予定も出てこないなっちこと安倍なつみの秋冬次第だけれど。

■ 投票行って外食するんだ

明日の話だけど。

衆議院のほうはよいとして、もう一つ最高裁判所判事の国民審査、こっちも忘れちゃいけない。というわけで「今回の総選挙では政権交代より重要な事がある」を紹介しておく。

米国のイラク攻撃を支持して、自衛隊派遣に尽力したのが竹内行夫判事。それを支持する人は粛々と信任すればいいし、どうでもいい人も信任すればいいし、いやちがうだろ、と思う人は不信任にすればいい。一応情報として。

その後はホテルで食事。

2009年08月16日

■ 膳所大津パルコ

前のエントリは最後の落ちを思いついちゃったんで書かないわけにいかなかった。後悔はしていない。

妄想から逃れる根拠もまた妄想だ、という妄想の無間地獄がテーマ。蛇足な解説だけれど。

「悪趣味」な部分はなんというか、たまたま「裏切られた」とか言っている人を見かけて、それは確かにそうなのだろうけれども、それでもファンたちには彼女の味方でいて欲しいな、という気持ち。ちなみに私はのりぴーよりものりりんな人だったので、のりぴー自身に対しては特に何の思いもない。えーと、のりりんが誰だか分かりませんか、ああそうですか。

と己の尻ぬぐいをしたところで、普通のレポートを。

去年亀井絵里と光井愛佳がラジオの公開放送で訪れた膳所大津パルコ。そのときは仕事で夕方になってからしかいけなかったが、握手会の様子も見て、結構いい雰囲気だった記憶が未だに鮮明にある。そしてその大津パルコになんと滋賀出身の光井愛佳とともに高橋愛が今度は来るという。やはりラジオの公開放送、そして新曲発売記念握手会。握手会には必死にならない、といっているけれども、ほとんど地元に高橋愛が来る、というのは行かないわけにはいかない。膳所は大阪などからの交通の便もいいし、それほど辺鄙な場所でもないのだけれども、それでも人の集まりはちょっと不安。せっかく娘。メンバーが来るのだから枯れ木でも少しは賑わせたい、という気持ち。

握手会参加券つきCD販売は15:00から。CD何枚売るのかは分からないけれども、万が一売れ残って、複数回握手するために複数枚購入するいわゆるループする人が出るぐらいなら、私が買おう、と思う。そうならば15:00に着けばいい。その時点で盛況で売り切れなら、それはそれで良し。

でもそんな殊勝な気持ちは朝起きたら消えていた。やっぱちょっと早い目に行こう。何となく急いた気分でJRの最寄り駅に向かい、そこからは普通列車で30分弱。膳所からは徒歩20分足らず。13:00過ぎには着いてしまった。もう完全に握手会参加モード。いそいそと列に並ぶ。大津パルコ内の階段に列が出来ていた。列は長々と続き、結局6階まで。概算200人強。CD発売数は去年の例では300。どうやら買えそうだ。

そうはいっても列は離れられないので、2時間、ひたすら階段で暇をつぶす。なんと生産的な時間だろう。やらなきゃいけない作業があるのに、「アイドル」と握手するために階段で無駄な時を過ごす。なんて素敵な生き方なんだろう!

15:00、列が動き出し、CDは無事購入。CDはやはり300しか用意していないようで、後ろの方に並んでいた100人前後の客は購入できず。当然「ループ」なんてできっこない。十分盛況。枯れ木なんて全然いらなかった。

握手会の前に18:00からラジオ公開放送が始まる。すでに場所取りが完了していて、後方の立ちスペースしか場所はない。さすがにそこにまた2時間以上とどまる趣味はないので、パルコ店内をうろつく。今回CD販売を請け負ったタワーレコード、書店、疲れたので飲食店街に行って一休み。それでも時間が余る。まあいいかと思って会場前で立ちスペースを確保。1時間あまり突っ立つ。生産的な時間だ。

18:00。ラジオ番組スタート。そして光井愛佳と高橋愛が登場。ブース内からの放送なので、当然客の声なんてほとんど聞こえないはず。それなのに必死で声援を送る観客たち。ある程度はいいんだけれども、奇声としか思えない声を張り上げるのは勘弁。ライブ会場でやられてもいらっと来そうな掛け声を公共のスペースでするのが応援だと思っているのだろうか。単に自分が叫びたいだけだよな。琵琶湖に向かって叫んでこいよ、と思う。

大勢の人だかりに、買い物客も足を止めて何をやっているのか、興味津々の様子。でもブースの様子は後方からではなかなか見えない。貼ってあるポスターを見て「モー娘。だって」と確認する人多数。光井愛佳も滋賀出身として結構知られている。大半は、ちょっと見てみたいけれど、見えないのならまあいいか、という感じで立ち去る。勿体ないけれどもこればかりはどうしようもない。

司会が二人いる番組なのに、時々進行表のようなものを高橋愛に確認させている。光井愛佳にはそれがない。なんだかんだリーダーというのはいろいろ仕事をしているものなのだ。

2007年段階ではちょっと微妙な雰囲気もあったこの二人だが、今はすっかりうち解けている。ここでもさりげなく高橋愛がお姉さんっぽい振る舞い。なんだかんだリーダーというのはたよりになるものなのだ。

番組終了。引き続き握手会。握手券を持たない人も握手会の様子は見られる。しかもかなり近くで。去年はそれでいい思いをした。今年もそれでいいかな、と思ったのだけれども、参加券をもらってしまった。

指定された場所でならび、握手会が始まったことを音で知る。すると「すごい低速だぞ」と触れて回る人がいる。「低速」とは一人あたりの握手時間が長いこと。主役が二人、参加者が300人、普段の握手会に比べて「低速」になるのは予想されていたことと言え、あらためてそういわれると心が騒ぐ。

列が進んで握手会の様子が見える場所に来る。ならびは高橋愛が先。前回握手会で言えなかったことを言おうと心に決める。光井愛佳には何を言おう。「可愛いね」とか「歌、いい感じだね」とか上から目線のことは言いたくなかったし、さりとてとっさに言葉が見つからない。無難に「がんばってください」ぐらいか。

握手券を係員に渡して壇上に上がる。間近に高橋愛がいる。でもいつも見ているのと同じく遠くにいるように感じる。決して身近には感じられない。私にとってその距離感は大切だ。

「ありがとうございます」、向こうから声を掛けてきて、こちらの手を握ってくる。当たり前だが手慣れたものだ。普段の握手会ならもうすぐに次に移動しないと流れを妨げるぐらいなのだが、今日はそのまま次に進むわけにはいかない。

「ずっと表現者でいてください」

インタビューでも彼女自身がたびたび言っている思いをことさらにお願いするのもおかしなものだが、それでも私が高橋愛に込めた思いの第一はここなのだから、これ以外には浮かばなかった。

同じことを言うファンが当然、たくさんいるのだろう、よどみなく返事が返ってきた。「はい。がんばります」。これまたこれ以上にはないある意味定型的な言葉。でもそれで十分だった。

のに、前がつっかえている。次の言葉を発することも出来た。もちろんそんな準備はしていない。それにそれをすれば、今度は私が「粘る」ことにもなりかねない。それで会釈だけして手を引いた。え、もういいの?一瞬そんなとまどいのようなものを感じた。私のことを光井愛佳本命のファンだと思ったかも知れない。

次は光井愛佳。満面の笑顔。高橋愛よりもずっと近くに感じられる。妙な現実感。でも語りかけるべき言葉は用意していない。「がんばってください」とありきたりなことをいい、「ありがとうございます」とにこにこと返事をもらう。それでも時間が余って、会釈をすると彼女も頭を下げてきて、ちょっとの時間二人で頭を下げあった。妙な時間だった。

あとは見物客の中に戻って握手会の様子を見守る。いろいろ厚かましげな要求をする客も数名。まあ、いい。

握手会が終わって、会場からさる二人を見送って、さあ帰ろうと思うと、人だかりが。どうやら「出待ち」をするらしい。それもイベントの一つ、ぐらいの雰囲気だったので、まあいいかと思って、私も見守ることにする。

待つこと十数分、私が想定していたよりもずっと近いところから二人が現れる。衣装はすでに着替えていて私服の二人。でも公然と出ていったときのことなのでいいだろう。高橋愛は上下グレーのカジュアルな感じの服だった。表現が乏しい。記憶も曖昧。ただ「スター」という雰囲気ではなく、そこらの女の子という雰囲気だった。いっぽう光井愛佳は黒のちょっとおしゃれな感じのドレス?年齢からすると、あるいは今日の衣装と比べても、大人びた雰囲気。

ほとんど丸一日つぶして、しかもその大半がただの待ち時間という一日だったのだけれども、それでも参加して良かった、と思った。高橋愛とは3度目の握手。なんだかんだ最多。

それでもあらためて言うのも何だけれども、私は彼女と握手したいわけでも、ましてやお近づきになりたいわけでもない。私は確かに彼女に「惚れて」いるけれども、それはパフォーマーとしての彼女に対してだ。「ずっと表現者でいてください」というのはつまりそういうことだ。

2009年08月15日

■ 陰日向に散る

「ずっと表現者でいてください」

「はい、がんばります」

想像していたよりもよどみなく会話は終わった。「はい」のまえに「え?」とか「あ」とかが入ると思っていたが、思いの外、すんなり返事が返ってきた。想像していたより0.8秒短い一瞬の逢瀬。時よ、止まれと思う余裕すらなく。

格好付けて、別れもよどみなく。彼女の手にあと1.3秒長く触れることも出来た。でも僕は未練がましい男でいたくはなかった。

それでも僕は本当はどうしようもなく未練たらしい男なのだ。未練たらしくほんの一瞬振り返ってみた。でも彼女はもうこちらを見ることはなかった。

すべてが終わった。あとはただ、もう死んでもいい、と思った、そんな夏の想い出。

艶やかな長い髪、その中には白くはにかんだ笑顔。

「ありがとうございます」。向こうから話しかけてきた。それが一瞬の逢瀬の始まり。ショッピングセンターの階段で2時間、人群れる広場で2時間待ってようやく会えた。あこがれの彼女。普段は僕はただ彼女を憧憬のまなざしで遠くから眺めるだけだ。小柄なのに躍動感があって格好いい。妖艶な表情を見せるかと思えば、驚くほど幼い表情も見せる。僕はそんな彼女を何千分の一、何万分の一の存在として見守るだけだ。でも今10秒足らずだけ一対一で目の前にいる彼女は堂々としているようでいて、どこか緊張しているようでもいて。堂々たる格好良さと、どこかにかいま見える不安定さと。そんな彼女がとても愛おしく思った。もし僕が彼女のために何かできることがあれば、それはどんなに素敵なことだろう。

「なにこれ、こういうポエムって基本的に読むに耐えないんだけど」

「いや、純粋無垢な18歳の少年のささやかな恋心を小説にしたものなんだけど」

「何かシチュエーションがいまいちよく分からないし、全体的にキモいし。せめてもうちょっと面白くできないの?」

「まあ、続きを読めって」

彼女のためなら死んでもいい。もし暴漢が彼女を襲ったら、僕が彼女の盾となる。彼女の前で僕が倒れる。僕が最後に見るのは彼女の顔。そんな妄想の中の妄想を反復する。

僕は彼女のすべてを愛せる。彼女が世界を敵に回しても、僕は彼女の味方でいる。そんなありきたりの妄想がなぜかリアルに感じられる。

彼女が覚醒剤をやっていても、僕は彼女のそばにいる。彼女がヒトラーを信奉すれば、僕も一緒に「ハイルヒトラー」と唱えよう。

彼女が裸の男の死体のそばにいても、僕は彼女の味方だ。僕は一切ぶれることなく、彼女の味方だ。

「なにこれ?こういうの面白いって思ってんの?単に悪趣味なだけじゃない。ていうか、そもそもこれ18歳の少年の話じゃなくて、アラフォーのキモいおっさんである君の話でしょ?なにごまかしてんだよ?」

「待て待て。俺の話のわけないじゃん。俺には山梨まで会いに行くリアル彼女がいるんだぜ。こんな妄想、冗談でも俺が抱くわけないじゃん」

2009年08月09日

■ 河口湖III

MC。宿泊した先がホテルじゃなくてコテージみたいな所だった。電気とかついてなくて、不気味な雰囲気。部屋に入ったら、何かがいて「きゃっ」といったら自分の姿が鏡に映っていただけだった。スタッフに笑われた。ここに一人で泊まるの?と聞いたら平然とそうだよ、といわれた。怖いなあ、と思いつつ、シャワーハットを被ってテレビとか見ていたら、何かかさかさと音がする。かさかさ現象ってあるじゃないですか(いやない)。それでもう怖くて、いろいろ探し回って気づいた。シャワーハットがかさかさ鳴っていたんだって。さあ、次の曲「やんなっちゃう」。

安倍なつみの「落ちがない」が売りのMCにしては綺麗に落ちていた。なかなかしゃべりも好調。

続く「小説の中の二人」はもう絶品。安倍さんの歌唱は安定していて、かつ気合いも入って、切ない感情がにじみ出てくる。これは本当にどこに出しても恥ずかしくない歌唱。そしてそれに都留さんのヴァイオリンが実に上手く絡んで曲の世界をもり立てる。

いったん衣装チェンジに安倍さんがはけると、バンドメンバーが待ったりした曲を演奏。所々にメンバー一人一人を際だたせる箇所があったりと、「つなぎ」とは思えない凝った演奏。なのに、くだんの三人組、当たり前のようにしゃべる、しゃべる。バカバカバカ。「森へ帰ろう」を聞いた直後の反省はどこへやら、また心の中で毒づく。

安倍なつみ再登場とともに東京公演と同様、バンドメンバーが増える。「くちびるで止めて」。東京公演でも実にいい感じだ、と思ったが、いやはや東京公演は駄目でした。音響が。今日はドラムの音がきちんと聞き分けられる。あとの曲ではAsamiちゃんのコーラスも鮮明に聴けた。野外ホールなのに、普通のホールコンよりも音響がいいって。というより、東京公演、ちょっと音響面ではまずかったんじゃないか。

そしてアンコール。曲が増えることは事前情報からもほぼ確定。そしてアンコール2曲目にきました「トウモロコシと空と風」。この曲がくれば当然?お遊戯教室。お遊戯教室といえばお子様、ということでオープニングのお子様たち、再登場。安倍さん、幼稚園の先生、というより保母さん状態。ご本人は「欽ちゃん」になった気分とか行っていたけれど。ファンたちも幼稚園児気分に戻って、必死にお遊戯教室。それを見た安倍さん、子どもたちに向かって「お兄ちゃんたち、すごいでしょう?」。

最後に子どもたち一人一人に感想を聞くと、「もう一回やりたい」とリーダー格の少年。それで急遽、お遊戯教室のキモの部分をやり直すことに。ハプニング大好きな観客たち、大喜び。確かにこれぐらいのハプニングはあったほうがライブ感はあるかも。

通常ラストの「空 LIFE GOES ON」が終了、あと一曲あるだろうことは想像できたが、ダブルアンコールを挟むかと思いきや、そのままもう一曲、ファンの愛唱歌「愛しき人」。今回セットリストからはずれていたが、あたかもこのために温存したかのよう。まさにファンのつぼを押さえた構成。

そして最後に、いつの間にか開いていた天井、その空へ向かって花火が。2階席からは微妙に見えづらいところもあったし、まだ時間が早すぎて空も明るすぎたけれども、実にすてきなプレゼント。しゃがみ込んで花火を見る安倍さんと、花火とどっちに目をやればいいのか少し悩んだけれども、安倍なつみと一緒に見る花火、というのも貴重な気がしたので、花火を中心に見る。

最後ステージから去るとき、いつも通りステージ横からはけようとするもスタッフに止められる。どうも安倍さん、段取りを間違えたらしい。最後、後ろに開いた芝生の上、森をバックにして、手を振りながら去っていった。その心は「森へ帰ろう」ということか。

ツアーファイナルの本公演に特別に付けられたサブタイトル「新たな誓い」を巡って、ファンサイドでは微妙に気持ち波立つ人がいたみたいだけれども、特段のことはなし。これまでどおり歌っていくから「付いてきてね」。私はそれ意外は考えられなかったので、そのあたりではまったりしていたけれども。安倍なつみのこの部分の揺るがなさには絶対的な確信を持ってみていられる。

■ 河口湖II

なっちこと安倍なつみに連れてこられてやってきた山梨河口湖。

せっかくなので河口湖自体も見てみたかったけれども、時間の兼ね合い諸々で断念、宿泊先の富士吉田からまたまた徒歩で富士急富士吉田駅まで歩く。朝の富士吉田は爽やかで歩いていて気持ちがいい。「森へ帰ろう」を頭の中でリフレインさせつつ、さほど疲れることなく駅に到着。

行きは特急だったが、帰りは普通列車。でもかえって普通のローカル線という感じがして、旅情をそそられる。行きよりもむしろ時間を感じることなく大月着。

帰りは名古屋経由にしたので、塩尻から特急「しなの」に乗ればよい。問題は塩尻までどうするか。塩尻まで行く特急「あずさ」が大月には止まらないことが多いようで、ちょっと不便。結局普通列車で甲府に出ることにする。

甲府着は10:00過ぎ。甲府14:32発の「あずさ」の指定席をあらかじめ(といっても前日だが)抑えておいたので、2時間ほど待ち時間がある。なんといっても甲府、大都市だし、歴史の街っぽいし、いくらでも時間がつぶせるだろうと思っていた。

意外と何もない街だった。中心街の店は多くシャッターが閉まっていて、観光客向けの食事どころがあまり見あたらない。全体的に何となく寂しい町並みだった。

とりあえず観光をと思うが、タクシーなどを使って遠出をするほどの時間も気力もないので、駅周辺を探す。まずは甲府城跡。まあ30分ぐらいは時間がつぶせるかな。軽く散策をして、また駅に戻り、さてどこに行こうか悩む。徒歩で行けそうなスポットといえば武田神社。なんといっても武田の神社だ。さぞかし時間がつぶせるだろう。ついでに昼ご飯もその周辺にいくらでも観光客向けの店があるはずだ。少し気になるのはタクシーで10分かかると案内が出ていたこと。ま、歩けるでしょ。

歩いた。ひたすら歩いた。武田通りをひたすら直進。昨日から今日にかけてどんだけ歩いているんだ、というぐらい歩いている。普通の生活道だった。観光地らしさはほとんどなく、ただ途中道すがら武田ゆかりの武将の説明文がちらほら。さすが「武田通り」だ。

果たして武田神社に着くと、早速土産物店が見つかる。ほらほら観光地、きましたよ。その隣にはたくさん食事どころが並んで・・・ない。土産物屋一軒だけ。

軽くショックを受けつつ、武田神社見学。木が多く涼しい。悪くはない。でも30分も時間はつぶせなかった。仕方がないので昼食探しに駅に戻る。

駅前には「ほうとう」屋はあったが、何となく一人では入りづらい雰囲気だったのと、ほうとうが1500円という値段を見て断念。ほうとうって基本的にはうどんのミソ煮込みという認識で、素朴さを楽しめればよいので、それほど豪勢でマーベラスなほうとうを食べたい訳じゃない。1500円という値段にはもちろん合理性はあるのだろうけれども、私の思いとは何か違う気がした。

というわけで、最悪の選択、駅ビルのレストランで昼食をとることにした。もうなんでもいいや。そう思ってレストラン街を探すとほうとうと釜飯のセットで1100円也の店があった。早速注文。私が心に描いていたとおりのほうとうだった。それなりに満足して店を出たらもう14:00。

「あずさ」は前日乗った「かいじ」と同系の車両。いかにも中部地方という木々いっぱいの車窓を見つつ、快適に塩尻着。塩尻からは「ワイドビューしなの」。こちらはがらっと雰囲気が変わり、ちょっとシックな雰囲気。大昔に「鉄道ジャーナル」という雑誌のさる特集に「列車を乗り換えたら、雰囲気ががらっと変わればとてもすてきだとは思いませんか」というような趣旨のことが書かれていたが、まさにそう。在来線特急を立て続けに乗るチャンスなど滅多にないが、今回はとてもいい気分に慣れた。なっち、ありがとう!

名古屋からは新幹線300系。もう飽きるほど乗っているが、「しなの」からはまた雰囲気が変わり、それはそれで乙なもの。結局「のぞみ」「かいじ」「フジサン特急」「あずさ」「しなの」「ひかり」と特急に乗りまくった二日間だった。

で、なっちコンの感想は?

■ 河口湖I

(昨年河口湖ステラシアターでイルカさんのイベントをやって)ここににみんなを是非連れてきたいと思って、お願いして実現したの。

そういう安倍なつみの思いにまんまとはまってはるばる京都からやってきた。そしてライブが終わって、山梨の暗い夜道を1時間ひたすら歩く羽目に。うん、そこだけはちょっとしくじったかな。

ライブが終わったのは19時。私の予定では18時過ぎぐらいに終了するはずだった。19時にホテルチェックインの予約を入れていた。慌ててホテルに電話を入れる。

シャトルバスにぎゅうぎゅうに詰め込まれて会場を出て、富士急行河口湖駅に到着したのは19:20。次の大月行きは19:44までないという。私は河口湖から二駅戻った富士吉田に宿を取った。河口湖周辺は既に予約がいっぱいだったので、近辺で何とか探し当てたのがそこだったのだ。

二駅。何となく歩けるだろうと思った。そして歩いた。暗い国道をひたすら歩いた。別に景色も良くなかった。観光気分ゼロ。それでも30分歩いたら富士吉田駅着。ちょうど19:44発の電車が同駅に到着したところだった。やった、運賃が浮いた。うーむ。

そこからホテルまでは10分と頭に残っていた。それでさらに歩いた。途中で思い出した。10分は10分でも車で10分だったこんな田舎でなんで駅から車で10分のところにホテルがあるのだろう。歩いた。ひたすら歩いた。

ホテルに着いてしまえば夕食にありつけそうもなかったので、途中のうどん屋で肉うどんと生ビールを食す。それからさらに歩いてホテルに到着したのは21:00だった。

疲れた。わざわざ近場でホテルをとったとは思えないぐらい疲れた。ま、これも一つの旅だな。

というわけでやってきた河口湖。新幹線で新横浜に出て、そこから普通列車で八王子。ここら辺で既に疲れ気味。八王子からは特急かいじ。わずか30分強だが、これはなかなか快適。あっという間に大月着。大月からは富士急行。昨年仙台いったときよりよほど疲れる。

フジサン特急なるもので終点河口湖まで。タイミングよく座れたけれども、少し並ぶのが遅れたらずっと立たされるところだった。結構込んでいる。おまけに遅い。いらいらするぐらいに遅い。シートピッチは無駄に広く、立っている人と座っている人の「差」がひどい。ああ、座れて良かった。

都留文科大学前なんて駅に停車する。都留文科大学がこんな不便なところにあるとはつゆ知らなかった。

富士急ハイランドの次の駅が終点河口湖。富士急ハイランドがこんな奥地にあるとはつゆ知らなかった。

河口湖駅はいかにも観光地風のこじゃれた駅舎。そこからステラシアターへはいかがしていこうか。シャトルバスがあるらしいけれども、発車まで時間がありそうなので、歩くことにする。どこかで昼を食べないとと思って、途中で見つけたカレー屋。なんで河口湖でカレーなのかは自分でもよく分からない。ルーは少なかったが、サラダにメロンが付いて700円は安い。しかも結構おいしい。そこの店主が常連さんと話をしている。今日はモーニング娘。のコンサートがあるらしいよ。さっきも兄ちゃんがそこに行くといってた。えーと目の前にいるおっさんもそこに行くんですけど、とは口に出さず、黙ってカレーを食していると、途中でこれまたいかにもそこに行くのが見え見えのTシャツの兄ちゃんが入ってきた。私は最後まで関係ありません、という顔をして店を出る。ばれていたかどうかは知らん。

道中にはつんく♂と自民党代議士のポスターが。演説会か何かやるらしい。しょうもないことをしている暇があったら、ちょっとはいい曲を一曲でも作れ、と思う。

東京厚生年金会館ではクーラーが効きすぎて寒かったので、河口湖周辺の季候もよく分からないまま長袖で来たが、結構暑い。汗が額ににじむ。会場前には屋台が出ていて、ちょっとしたお祭り風。といっても地元住民らしき人はほとんど目立たず、いつもの「ハロプロファン」たちの集いの場。グッズ列もまずまずの長さ、私は買うものは既に買ったと無視していたが、なんと正月に安倍なつみと矢口真里がアイスランドに行ったときのDVDがサイン付きで売っていたらしい。もっとも早々に売り切れたらしいが。ちょっと残念。というか、数用意しておけよ、と。

入場するときに座布団を渡される。そう、ステラシアターは野外ライブ会場、座席はコンクリートなのだ。3000名収容できる大ホールだが、さすがに山梨で3000は集まらない。おまけに中野ではハロコン、さらに安倍なつみと同期の飯田圭織が誕生日ライブを同じく都内で行っている。客はばらけて当たり前。せめて飯田ライブとは重ならないようには出来なかったものかと思う。

それでも1500人強ぐらいの入り、半分というとかなりがらがらに感じられようが、それがそうでもない。見切り席を切って、2階後方席をあけて、あとはそこそこ余裕を持って座らせれば、まずまずいい感じ。おかげさまで私の席も前後左右が空いていて、結構快適だった。

15分押して開演。と思ったら、子ども合唱団のオープニングアクトが。地元還元・教育の一環と思えば結構なこと。でも正直4曲?もやられるとちょっとと思わなくもなかった、けれどもこの子どもたちがあとで活躍することになるとは正直想像だにしていなかった。

そしていよいよミュージシャンと安倍なつみ登場。しかも数が多い。ストリングス隊が都留さんとは別に3人もいる。ショコラという女性グループらしい。ということで都留さんを含め豪華4重奏で「微風」。気持ちよく聞こうと思ったら、近くの3人組がこそこそしゃべる。最低。注意したらにらまれた。最悪。ハロコンにはこの手のバカが集まっているらしいが、なっちコンにわざわざ山梨まで来てもこの手のバカが消えないとは、「ハロプロ」には心底どうしようもない人が取り憑いて離れない、ということか。ま、分かっていたけれど。

豪華4重奏、なんだけれども、なんというか、正直言って都留さんとのレベルの差がありすぎて、すこしきつかったかも。こっちも耳が肥えてしまって、「生演奏」というだけで「最高!」だなんて言えなくなってしまった。

途中でカバー曲「森へ帰ろう」。最初大阪で聞いたときは、安倍さんは歌詞カードを見て歌うし、なんともぴんと来なかったのだが、東京で聞いて、結構いいなと思い、今日聞いて、なるほど今日のための選曲だったのかと納得した。バックに木々が見える野外でまったり歌われる「森へ帰ろう」。バカバカとすさんだ己の気持ちを一瞬だけ恥じた。

2009年08月01日

■ スニーカーではなくて高級靴だった(いい意味で)

なっちこと安倍なつみコンサート、東京厚生年金会館大ホール。

体調よろしくなく、また関西から東京への往復も、財政的・体力的・時間的につらい。さらに翌週に山梨に行くことを考えると。正直、少し微妙なテンションだった。

こういう書き出しをするとだいたいオチは決まっているわけだが、果たして、来て良かった。山梨も絶対行くぞ(というか宿も押さえたので、行かないわけはないのだが)、と。

前回、大阪公演参加時に書いたやや微妙な部分が全て良くなっていた。そのときは「ライブの構成としては、よく言えば中庸、もっとよく言えば、これまでの集大成、悪く言えば中途半端」と書いているが、今日のはまさに集大成と呼ぶにふさわしいものだ。あるいは、アコースティックなまったりコンと、絢爛で厚いサウンドのコンサート、一回で二度楽しめる、というか。これを見てしまうと、なるほど、このコンサートの作りの意図が鮮明に見えてくるし、逆に、これまでの編成はこの「理想型」からの(予算的にやむを得ない)引き算だったのだと思えてしまう。私は「まったりコン」を期待していた、と書いたが、この内容だったら後半も大満足だ。というより、後半の方がさらにすばらしい。「下界」(一階席)は歌えや踊れの「盛り上がり」ライブだが、二階ファミリー席に鎮座している限り、一級の演奏者たちの絢爛な演奏の一つとして奏でられるなっちの声、それらを一つのサウンドとして楽しめる優雅で豪勢なコンサートだった。

特に後半、楽器が増えて、なお一層際だったのが、ヴァイオリン。あらためて都留さんのヴァイオリンはすばらしい。絢爛な音の中に混ざる狂おしいまでの音色。最大の盛り上がり曲「だって生きてかなくちゃ」の間奏部、一階席では客が声をそろえて叫んでいるが、ここのところのヴァイオリンが実に泣けるのだ。続く「ストレス」、この曲をカバーシングルとして出すと聞いたときには正直落胆したし、CD化されたときにもあまり好きになれなかったが、今思う。この曲を持ち歌にしておいて良かった。この曲とヴァイオリンが合うなんて夢にも思わなかった。

6月大阪時には批判的に言及したカバー曲「森へ帰ろう」、これも今日のは良かった。歌詞カードも見ていなかったし、それだけに歌詞の世界が伝わってくるように感じられた。そしてこちらは徳武さんのアコースティックギターの優しい音色が心に染みる。

もちろん冒頭の「微風」もとても良かった。一曲目ということで聞く側も、歌う側も、ややばたついている感じがあったが、今日のは良かった。一曲目から気合い充実した歌いっぷり。その後に続く曲も含めて、しばらくはバンドメンバー3人の「薄い」サウンドが続くのだが、その間はしっかり安倍なつみの声を楽しむ。それも意図としても、実際に聞いた感想としても、とてもよく納得できた。そしてそれに耐えるだけの歌を安倍なつみは歌っている。

心残りだったのはせっかくの(想定外の)サックスが加わったのに、いまいち見せ場が少なかったこと。従来編成では明らかに欠落していたリズム系を加えるのは簡単でも、新たにサックスに見せ場を作るのは難しいものか、と思っていたが、本編の最後「大人へのエレベーター」で来ました。ギンギンのサックスの音色。心残りの一つが最後に消えた。

それでもしつこく諫言を。「微風」の間奏中の拍手はやめましょうや。せっかくのヴァイオリンの音色が台無しです。というか、演歌歌手じゃないんだから、あのタイミングでの拍手はない。でもこれまた前にも書いたとおり、安倍さんがそれを煽ってしまっている。間奏中にお辞儀なんていらない。例えば都留さんの方を見て、体でリズムをとる、とかそういう動きをしていれば、あそこであそこまで拍手は定番化しないはず。もはやこのコンサートは、安倍なつみのワンマンショーではないのだ、ということを安倍さんにも分かってほしいな、と思ったりする。