重層的非決定?

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2009年09月23日

■ モーニング娘。コンサートツアー2009年秋スマイル神戸(前半)

モーニング娘。コンサートツアー2009年秋9スマイル神戸昼夜公演(ネタバレあり)。

これまた感想を書くのが難しい。すごく良かったんだけど。。。という感じ。でもやっぱり私のホームは安倍なつみコンだな、とか娘。コンでも春のほうが私好みだったかな、とか。

コンサートの出来自体はとてもいい。衣装、照明はきっちり作られているし、娘。のパフォーマンスもいい。ついでにセットリストも私好み。前々から聴きたかった曲が入っている。さらに言うと今日の会場、神戸国際ホールもいい。大阪厚生年金じゃなくて、ずっとこっちでやって欲しいぐらい。新しくて綺麗。いろいろ作りも行き届いている。交通の便もいいし、駅からのアクセスもいい。新幹線利用の遠方客も大阪よりもこっちのほうが便利だろう。

私はいつものファミリー席。そのファミリー席の設定が少ない。松浦亜弥コンサートの半分ぐらいか。座ってみるコンサートではない、ということだろう。

お子様方はちらほら。はたして久住小春のうちわを持っていたりする。この子たちは来年からもう来なくなってしまうのだろうか。そう思うと少しやるせない。

関西二日連続というのは少しつらいものなのか、客入りは少し厳しい。どこも不況の影響もあって、ライブの客入りは厳しいとも聞く。おまけに娘。はチケット代がやたら高い。値下げというのはステータスを下げると言うことになるだろうから難しかろう。せめて高校生以下は3000円、大学生は4500円とかに出来ないものか。

内容。

ショーとしての質はとても高いと思う。歌、踊りとも底上げが著しい。特に久住小春。正直かつては生歌はとても厳しかった。小春が歌うところではちょっとのけぞるぐらい。でも今日聞いた限り、少しも下手ではなかった。問題なく歌えている。声はもともと個性があるし、今後のセンター、エース候補として面白いじゃないか。んー、卒業か、勿体ないぞ。

一方道重さゆみの歌。うーん、相変わらず厳しい。苦笑いするぐらい。がんばってるなあ、とは思うけれど。

今回のコンサートがどことなく高まりきらないのは、なんというか、私にとっての起伏が少ないところ。といってもやはり徹頭徹尾高橋愛視点なのだが。春だったら「夢から醒めないで」と「情熱のキスをひとつ」。この2曲でがらりと変わる高橋愛を見るのが楽しかった。そしてこの2曲の高橋愛を私にとってのライブの頂点として、普通に盛り上がる曲をまったり見る。そういう楽しみ方。あるいは安倍なつみコンサートなら「微風」とか「空Life goes on」を頂点として、そこに向けて緊張感を高め、集中して聞き、それ以外はまったりとしてみる。そういう起伏。

今回は私にとってそういう頂点のような場所がなかった。固唾をのんで見守るような時間の不在。

セットリストには期待の曲が数曲。ひとつは新曲「気まぐれプリンセス」。これは楽しい。踊りも激しいし、曲は乗りがいい。ただラジオ(CD)音源と比べると、奇抜さは減り、割と真っ当なモーニング娘。の曲という感じ。私は好きだが、ライブの頂点というような緊張感を強いる曲ではない。

一番の期待は「元気+」。荘厳な雰囲気のオケで始まり、ささやくような「優しい声が聞こえる」というフレーズで幕を開ける。そのときのメンバーの振りは耳に手を当て、音を聞き取ろうとするもの。静寂の中、かすかだが確かな声が聞こえてきて、その声が少しずつ大きくなってくる。その声は凛とした響きの中に優しさに満ちている。まるで神の声のような。そんな世界観を私は感じるのだが、問題は観客の声援。「優しい声が聞こえる」の次の間に「ふわふわ」という掛け声を入れるのだ。

私がライブに行き始める前からの慣例だろう、私以外に文句は誰も言っていないはずなので、完全に私のわがままを承知で言う。えー、君たちはアホですか?

荘厳な声を聞き取ろうとするその間に「ふわふわ」なんてアホ声を入れるって、もう曲が台無し。リズム的にそこに「ふわふわ」が入るというのはアイドル曲の定番っぽいのは分からなくもないが、そういう曲ではないだろう。私は安倍なつみコンのヴァイオリンが間奏を奏でる最中の馬鹿声を耳から排除してヴァイオリンの音色に耳を傾けることは出来る。しかし静寂を想起する場面で馬鹿声を消去する技術は持っていない。無たる場面に投げ込まれたゴミはどうやっても無には帰らない。最悪。

「さくら満開」。ゆったりしたリズムに和の風景を感じさせる曲。日本の風景の中、満開の桜が舞い散る景色が心に浮かぶ、はずのこの曲に「エルオーヴィイーラブリー某!」。えー、君たちはアホですか?全然リズムにも合ってないやん。「エルオーヴィイー」という掛け声にはそれはそれなりのリズムがあると思うのだけれども、この曲はそれに比べてゆったりしているから、掛け声そのものが何とも締まらない。その締まらない掛け声をそれでもする。曲の世界をぶちこわして、失笑ものの掛け声だけが残る。最悪。

とまあ期待の2曲をアイドル応援の流儀らしい「ふわふわ」と「エルオーヴィイー」とかいう掛け声でつぶされる。モーニング娘。、アイドルなり!いや、分かってますよ、分かってますとも。私が間違っているんです、たぶん。

最後の期待曲、高橋愛と田中れいなのデュオで歌う「記憶の迷路」。歌唱力実力派で娘。センターをつとめる二人の歌。曲はベリキューエッグの選抜メンバーをこの二人に加えたHigh Kingなるユニットのシングルカップリング曲。正直歌唱力に難のあるメンバーがいなくなったこの二人での歌唱はとても楽しみだった。

良かったです、普通に。うん、綺麗なメロディーだし、それを実に上手く歌っている。文句なし。

でも、このライブの頂点に持ってこられない。曲が簡単すぎる、たぶん。この二人なら余裕綽々で楽々歌えてしまっている。

2005年の娘。コンサートではこの二人に亀井絵里を加えてタンポポの「ラストキッス」を披露した。ハモリもあって、とても難しい曲。この難曲に3人は食らいついていた。それから比べるとこの曲は簡単すぎる。少しもチャレンジングなところがない。

それで分かった。なんで今日のライブがいまいちに感じられるのか。

夏に高橋愛と新垣里沙のディナーショーを見てしまったからだ。高橋愛の「Stuck」、新垣里沙の「声」、そして二人のハモリを聞いてしまった。リミッターをはずした二人のパフォーマンスを満喫してしまった今となっては通常の娘。曲だけでは不満なのだ。いや、ほとんどの曲は娘。曲でいい。でもライブのどこかにああいう「凄さ」を感じさせるパフォーマンスを入れて欲しい。ソロでもハモリでもいい、高橋愛が、田中れいなが、新垣里沙が、あるいは亀井絵里、リンリンが必死になってようやくものに出来るようなレベルのパフォーマンスを取りいれてほしかった。

今回のライブで言えばやはり高橋愛と田中れいなの所だろう。「記憶の迷路」は好曲だがやはりハモリがある曲の方が良かった。まあ、もしかすると保田圭と組んだ安倍なつみよろしく、田中れいなも「れいな、ハモれんちゃ」と頼りないことを言うかも知れないが、そこは気合いを入れて、あるいはハモリは高橋愛任せでもいいから、チャレンジして欲しかった。

アンコールラスト曲は「ラブマシーン」。セットリストだけを見たときは、「ゲッ」と思ったけれど、あらためてパフォーマンスを見ると普通に良かった。かつてはオリジナルの歌い手が頭に浮かんで、なかなか目の前のパフォーマンスがすんなり頭に入ってこなかったが、さすがにこっちも慣れたか。そしてそうしてみてみると、今の娘。メンバーのパフォーマンスはやはり素晴らしい。まあオリジナルの頃よりもキャリアは皆あるのだから当然といえば当然だが。

いろいろ不満も書いたが、今年の新曲4曲とカップリング曲2曲、アルバム曲「Songs」、そして2008年のリゾナントブルーと、今の娘。のオリジナル曲はどれも質が高い。素晴らしいパフォーマンスを見せてもらったという気持ちには疑いがない。

ツアー後半は同じく神戸を昼夜2公演、あと鳴門かどこか地方公演を1,2公演見る予定。今の娘。はやっぱり好きだ。でも安倍なつみコンの良さもあらためて思い出してしまった。次はいつやるんだろう?

投稿者 althusser : 2009年09月23日 23:13

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