重層的非決定?

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2009年02月13日

■ 世界の核

Q.E.D.証明終了「賢者の遺産」。タイムスリップものの定番としてある「物質」が二つの時空を繋ぐ。本作では主人公加奈が時空を行き来する出入り口となる屋敷(洋館)と加奈が過去に落としてきた携帯電話。

その携帯電話には加奈と、過去の世界で出会った青年とのツーショットが残されていた。その携帯電話を70年間、ずっと大切に持ち続けてきた青年(老人)。

感想文を読むとそこに突っ込みが入っている。電池が切れるだろう。そもそも70年間も壊れないわけがない。

この突っ込みは全く当たっていない。なんとなれば携帯電話は現在のものだからだ。携帯電話は現在今あるものとして、現在と過去を繋ぐ。携帯電話は今の時間から過去に向けて常に投げられた「物質」なのだ。

洋館は逆に過去から時を刻んで現在にいたって存在し続ける。そして青年は携帯電話という未来(現在)からの投下物を支えにして、洋館を未来(現在)に向けて温存し続ける。未来から投下されたその物質の存在によって、過去はそうあるものとして時を刻むのだ。そして70年の月日が流れ、二つの世界はある定点ー携帯電話ーに回帰する。

投稿者 althusser : 2009年02月13日 01:37

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