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2009年02月08日
■ それでも安倍なつみは素晴らしい
※微妙にネタバレあり。
初めての会場、浜松K-MIX内space-K。キャパが200人程度ということで、想像通り小さな会場。ステージも低く、また客席に近い。後列3列分ぐらいだけ階段状になっていて、見晴らしが良くなっている。また右側にステージからはかなりずれる空間があり、そこにも座席が並べられている。ステージが少し見切れ、音響も良くないが、ステージ中央を見るのには支障ない。入場順番が悪い人はそこを狙えば、少なくとも「前」で見ることは出来る。
というので昼公演はそこを狙って、120番台ながら最前席を確保。ステージ上手にいたギターの徳武さんは最後まで顔をほとんど見られなかったし、音響もいまいちだった気がするけれど、なっちは近かった。というので昼はなっち凝視モード。
夜は最後列の座席が空いていたので、そこのステージほぼ中央を確保。座席位置が高いため、前方の見晴らしが良く、音響もよし、最後列といっても会場が狭いので、非常にいい席。でも客席も全部見渡せるため、しょうもない客の動きまで全部見える羽目に。ホント、しょうもない。
バンドメンバーは前回Angelicツアー6人から4人が参加。一昨年、昨年と行われた「アコなち」ツアーと比べ、バンドメンバーは総変わりで楽器はベースが増えた。キーボード、ギター、ベース、ドラムと標準的なバンド構成。コーラス担当はなし。
Angelicツアーではこの新しいバンドメンバーと慣れるのにやや手間取ったか、安倍なつみの歌唱は好調とは言い難い部分が見られた。が、今回は絶好調と言ってもいいのでは。公演時間が短いこともあるのかもしれないが、立ち上がりから声が伸び、厚みのあるバックの音にいささかも負けていない。声にも艶があるし、声量・音程ともに安定している。バンドメンバーとの呼吸も合っていて、場面によってはばたついた印象が残るときもあったAngelicツアーの時よりも質的に明らかに向上している。
2007年ヴァンサンクツアーで、それまでのコンサートとは一段質が変わり、その後アコなちツアー2回、Angelicツアー1回と(ネガティブな意味でなく)試行錯誤が続いていたが、その集大成がここに来た、という感じ。また一段質を上げたと。惜しむらくはこのツアー、会場も小さく、公演回数も少なく、堪能できる人が非常に限られている。非FC会員にとってはまともに参加できるのはこの浜松公演が実質最初で最後という感じだし(明日の六本木STBも一般客は入れるが、平日の昼に瞬時にチケット売り切れの公演なんて)。私も今日でおしまい。
昨年アコなっちツアーでは、ツアー初期はセットリスト入りしていたのに途中で削られ、私は聴けなかった痛恨の想い出のある「愛ひとひら」、ここで来ましたよ。ブラスの入ったAngelic編成で聞きたかった気もするけれど、アコなちとはまた違った華やかにムーディーな今回のバンド編成には実に良く合っている。この曲は手拍子はいらない、と思うのだけれど、そして9割9分の客もそう思ってか、手拍子はしていなかったのだけれども、昼公演、さる一人だけが何か意固地になったように最後まで手拍子をし続けた。意味が分からない。だからそんなところで変な自己主張とかいらないの!夜公演は夜公演で陶酔しきった振りコピを大仰にやる人が近くにいて、これまた気が散ってしかたがなかった。本当、意味が分からない。
途中のMC、横浜アリーナ、エルダークラブ「卒業公演」が話題に。その中でも久々に福田明日香の名前を聞いたとき、公演当日には感じなかった感慨を覚えた。どこかしらしらけた思いも残っていた横浜アリーナ公演、でも今日、福田明日香の名前を聞いて、ようやく「真の」卒業公演があったのだ、と思えた。どんな顔で5人は向かい合ったのか、どんな話をしたのか、それは私の想像を超えているけれども、そのことを思うだけで、実際に公演を見たそのときよりも大きな感慨を覚える。
アンコール前、ラスト曲に「微風」。この曲だけではないのだけれども、この曲で特に感じることに、安倍なつみの歌声には何とも言えない悲しみがある。いつも笑顔、本質的に陽性の人だし、歌声も明るい。なのに、どこか悲しみをたたえている。まさにこの曲の世界のように、「微笑み」と「明日へ進んでゆく」未来への希望とともに、心の奥底にどこかぬぐいきれない過去への思い、悔恨の念。彼女は表現者として傷を負った。傷は人を駄目にもするし、深めもするだろうけれども、私はずっとその傷とともに彼女を見てきた。傷を美化は出来ないけれども、私は傷を負った表現者としての彼女を見守り続けるし、この歌声がある限り、私はずっと彼女のファンであり続ける。
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