重層的非決定?

« 最高、じゃない! | メイン | セクシーなの »

2008年10月13日

■ キュートなの

私が真に道徳的な人間であったら、下のエントリを書いたらそれで今回のレポートは終了、とするのだが、私は世俗にまみれた人間なので、ライブの中身、モーニング娘。メンバーのパフォーマンスについて書く。

昼の娘。、夜の娘。どっちが好き?いや、昼夜でメンバーに何か違いがあったというわけではない。違ったのは私の座席位置と、そして私の精神だ。

昼から。

昼は三階最前列のファミリー席。私の指定席のようなものだ。しかし今回の会場、名古屋市公会堂、一階は段差がなく、座席も狭いと評判はさんざんだが(確かにひどいと思う)、ファミリー席はこれが結構いいのだな。私の「ホーム」の大阪厚生年金よりも明らかにステージとの距離が近い。肉眼でもそれなりにいろいろ見える。「いろいろ」って何?いや、まだ昼だからさ。その辺は夜にだな。いやいや、まあメンバーの表情とかそういうのですよ?

今回のツアーの多くの評によると「愛ちゃん(高橋愛)が目立たない」。しかもそれがポジティブに語られる。どういうことか。

実際愛ちゃん個人の存在感が薄れている、とは私は思わなかった。ほとんど愛ちゃんに神経を集中させていた私が言うのだから間違いはない(?)。高橋愛の歌唱はますます磨きがかかっていたし(後述)、踊りも相変わらず躍動感、しなやかさがあり、美しかった。

しかし、(愛ちゃんに神経を集中させていたという私が言っても説得力はないかもしれないが、そこに逆に説得力を読み取れ!)これまでのようにそのまま高橋愛を突出させないだけのものを他メンバーが備えているのだ。

娘。全体の動きを見る。そこから高橋愛に視線をフォーカスさせようとする(愛ちゃん、愛ちゃんなもので、申し訳なし)。今までだったらそれには対して苦労はなかった。踊りを見ればすぐにどこに愛ちゃんがいるかがわかったからだ。

しかし今回はそれでは簡単には見つからない。メンバーおのおのの踊りが実に躍動感に溢れ、しなやかになっている。正直「可愛さ」でごまかしていたかに見えた部分がこれまでには多々あったが、今回は魅せるべき部分はしっかり魅せてくれる。もちろん可愛くあるべき部分は可愛く。ダンスにいちいち表情がある。(おそらく)メンバー全員に、だ。

特に目を引いたのが亀井絵里。高橋愛に比べて質量感があるだけに(これは100%褒め言葉だ!妙齢の女性に「質量感」とはなんだといわれるかもしれないが、誰がなんと言おうがこれは褒め言葉なのだ!)、どっしりとした存在感があり、説得力が出ている。高橋愛がどこかしらファンタジー的な美しさだとしたら、亀井絵里の美しさには確かなる実在感がある。

歌唱もメンバー全員の底上げが著しい。新垣里沙、亀井絵里が「戦える」レベルになっているのは少し前からだが、8期が十分戦力になってきているし、道重さゆみ・久住小春もなんだかんだ「聴ける」。小春のソロ曲は構成からしてかなり疑問だが(本来はユニット曲をまあいろいろごまかしてソロで歌っている)、それ以外は大きく違和感を感じるところはなかった。

ただ、夜の話を少しだけ先走って触れると、高橋愛にはやはり一日の長がある。昼は新垣里沙のソロ(Indigo Blue Love)、夜は高橋愛のソロ(無色透明なままで)が交互にセットリスト入りしているのだが、昼の新垣里沙のソロは声量も十分にあり、十分聞かせるのだが、夜の高橋愛の歌を聴くと、ちょっと違うよな、と。発声に全く無理がなく、実に楽々と声を出せており、その余裕もあって、実に曲にあわせた歌い方ができている。かつて高橋愛がモーニング娘。の伝統曲「ふるさと」をソロで歌ったときにはこの「曲にあわせた歌い方ができていない」というところで一部で結構バッシングされたものだ。もちろんそれから年月もたっているので、元々ここ数年の高橋愛とは無縁の話だけれど、今回のソロはそれはもう、この曲をこれ以上うまく歌える人がハロプロにいるだろうか(いや、いない)と思われる。普段はドスのきいた声でも歌える高橋愛が、この曲に関しては曲名(無色透明なままで)、曲の主題にあわせて、とても澄んだ「美しい」としか言いようのない声で歌うのだ。高橋愛がこの曲にあわせて歌っているというよりも、この高橋愛の声にあわせてこの曲がつくられたかのように感じさせられる。しかしまた他の曲になれば、いつものドスのきいた迫力のある声。この声の幅の広さ、この切り替えはハロプロ随一と言っていいと思う。

後半戦、盛り上がり系のカバー曲(「どうにもとまらない」「恋のダイヤル6700」)に引き続き、いつものモーニング娘。の「盛り上がる」曲。しかしただ「盛り上がる」だけではない。完成度が高い。勢いで押し切っているのではなく、きちんと一つ一つのパートが丁寧に歌われている。そして最後の「リゾナントブルー」。声の重なりも見事、泣かせる曲でもなんでもないのに泣ける。

MCもこれまでの台本丸出しトークとはうってかわって、去年の10年記念隊を彷彿させる「自由」なトーク。もちろん事前の設定、仕込みはあるだろうけれど、メンバー全員がのびのびトークしているのが感じられる。ジュンジュンと小春の「けんか」。お約束のようでいてお約束にはとどまらないぐだぐだぶり。ジュンジュンには歯止めがきかない。もちろん小春にはブレーキは存在しない。

6期三人のトーク。田中れいなが会場にちなんだ問題を出し、それを道重さゆみと亀井絵里が解答するコーナー。昼夜は忘れたが、出題者の田中れいなが素の顔で会場にお願いする。「絶対答いわんでね」。先の会場で答を叫んだ馬鹿がいたためにかなりナーバスになっている。亀ちゃんは相変わらずぽけぽけぶー。それよりは*マシ*な道重さゆみ、実はお父さんは名古屋大学出身であることを告白。「おー」と会場。

5期トーク。メンバーを一人フィーチャリングしてのリーダー、サブリーダー対話。他の二つと異なり、結構まじめ。昼は光井愛佳。とてもいろんなことに気遣いができる娘だと。昼ご飯を食べているときに「ハイ、お茶どうぞ」とか。なかなかできるものではない。たとえば小春が入ってきた時なんて、と早速久住小春に刃が向く。夜は高橋愛。普段からカミカミだが(今日も「トリビュートアルバム」あたりから噛みそうな雰囲気丸出しで、その後「未発表曲」を「ミハッピョウコク」)、挨拶(こんにちは)さえうまくいえず噛むことが多い。「こんにちはとこんばんはが混ざったんだよ」。「でもそんな愛ちゃんがいいんですよ、ねえ皆さん」。「え、いいの?」(ちょっと照れながら)。

アンコール。どうでもいい話だが、「アンコール」のかけ声、そろわないな。バラバラ。声も小さい。娘。ファン、まとまってねえ。一体感なし。なっちこと安倍なつみコンサートの「なっち」のかけ声のそろい方になれている身からするとちょっと笑える。そういうのは別に嫌いじゃないけれど。℃-uteファンの「一体感がすごい」的な言説にはやや辟易としているので。

投稿者 althusser : 2008年10月13日 22:29

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://macmini/cgi-bin/blog/althusser-tb.cgi/889