重層的非決定?

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2008年08月09日

■ 行動記録1

結局今日は藤本美貴アコースティックライブとメロン記念日舞台「カバ2」をはしごしてしまった。

疲れた。

10時に簡単な食事をして、新幹線で東京へ、そのまま改札を出ずに京浜東北線で西川口へ向かう。

西川口駅着が14時過ぎ。何となくごみごみした町。会場のライブハウスがどこにあるかしばし途方に暮れて、ノートPCを取り出して、場所を確認する。まだまだ携帯リテラシーが足りない。

ライブハウス公式サイトの説明を読めばあっさり行けた。普通の住宅街みたいなところに突然ライブハウス。よくこんな会場を見つけてきたものだと思う。というより、もう少しキャパが大きくてもう少し便利なところにある会場を押さえても十分ペイしただろうにとも思う。

関東圏で100人しか入らない小規模会場。当然相当のプレミアチケット。FC優先枠もなし。となるとチケットを入手した人は結構幸運だったのだ、と私は素朴に思っていたが、どうも「おまいつ」(お前いつもいるな)なひとたちばかりが集まっているらしいと、群れる人たちの会話で気づく。だいたいこれまた少人数で行われたディナーショーで販売されたTシャツをすでに持っている人がいっぱいって、何かおかしくないか。

そういう「おまいつ」な人たちばかりのライブだったようだけれど、客のマナーはとても良かった。Tシャツを着ている人も含めて、こざっぱりとしたなりだし、ペンライトを振りかざしたりもしない。さらに驚いたことに、ライブ中全員がずっと着席して聴いていた。

段差のないライブ会場、そこにいすを並べて、「アコースティック」を冠してライブを行う。同条件のはずの昨年度安倍なつみのアコースティックライブ博多会場では全員立っていた。当然後ろの客には見えない。背の低い女性には特に不利。でもそんなことにはお構いなく「立つことこそが盛り上がりだ」という信念を持っているのか、なぜか全員が立つ。ステージ上の安倍さんもそれをよしとする。

今日は全員着席。後ろの席でもステージがきちんと見える。もちろん藤本さんも変なあおり方をしない。全員にステージがきちんと見えて、そして藤本美貴の歌を聴く。当たり前の、とても良質な空間だった。

ライブが終わる。Tシャツを脱いで上半身裸で着替えを始める者もいない。ついでにこれはよけいなお世話だが、チケットを透明なチケットホルダー?に入れて首から下げて歩く奇抜なファッションの人もいない。ごく普通に音楽を楽しみに来た人の集団だった。そうではない空間があるんですよ、同じハロプロなのに。藤本美貴よりも年長のベテランの歌い手のコンサートなのに。

ライブ終了後、そしてネットでレポートを読んで、昼夜連続で行っている人の多さには少し驚く。繰り返すがチケットは結構なプレミアチケットだったはずだ。昼夜をとるのは至難の業だと思うのだが、なぜかレポートを書いている人の多くが当たり前のように昼夜チケットを入手できていた。ちょっと不思議、とカマトトぶって言ってみるが、もちろん私が明日の安倍なつみBirthday Concertを昼夜見られるのと同じことだろう。

たかが100人*2会場分しか入れないプレミアライブをさらにプレミアにしてしまう。もちろん私だって昼夜チケットをかりに取れたら押さえていたと思う、ただそうしてどんどん「おまいつ」な内輪のライブになっていくことを惜しいと思う。

そしてそういう「内向き」指向を演者自身がもってしまう。「イベントとかと違って、いつもいる人がいてくれて、ほっとする」。ライブの終わりに「この後も引き続き見てくださる方、明日(イベント)もお会いする方もいると思いますが」。もう少しこの会場をただ1回のチャンスとして見に来てくれた客にも視線を向けようよ。安倍さんはその点ではまだぎりぎりバランスを保っているようにも思う。

藤本美貴作画の「くまTマン」Tシャツを着ている客を見つけて、「あ〜、ほんとに着てる〜」はちょっと笑った。本人もすぐちょっと失言気味なことに気づいて、「いや、とてもうれしいんですよ」と慌ててフォロー。

オリンピックで重量挙げの選手がメダルを取れなかったというタイムリーな話題も出て、全体的にアットホームな雰囲気。内向きとアットホーム、そのバランスは難しい。ついでに去年夏から甲子園にはまっているらしく、「ルールとかはよくわからないんですけど、エースが打たれてチームメンバーが駆け寄って肩を叩いたりしているのを見ると、くぅーエースぅってなって」。

歌は普通にお上手。これはいまさらか。丁寧に歌っているので、歌詞も明瞭で聴き取りやすい。ただ昼公演限定なのかもしれないけれど、少し声の伸びは足りないように感じられた曲もあった。曲によってはもう少し歌い手としても思い入れ、メッセージを押し出す場面があっても良かったかな。安倍なつみや松浦亜弥はそれが出来る。高橋愛は高橋愛で時折うざいぐらいに己のスキルを見せつける場面があるしね。その辺から比べると全体的に淡泊な印象を持った。カバー曲が多いので、まだ曲が自分のものにはなっていないのかとも思う。

お母さんが「これ(と後もう一曲)しか知らないんじゃないか」と思うぐらいにいつもカラオケで歌っているという「なごり雪」、これはその淡泊さが良かった。藤本美貴再ソロシングルのカップリング「遠い恋人」も秀逸。一方「会場にいる人の中にはぎりぎり直接見た人もいらっしゃるかもしれませんね。私はYouTubeとかでみました」というテレサテンの「つぐない」はもう少しねっとりと歌ってほしいかな。尾崎豊の「I love you」ももう少し気合いを表に出すぐらいの方がはまるかも。アンコール曲の安室奈美恵「Sweet 19 Blues 」は個人的にはいらない曲。こういうありきたりなJpopを藤本美貴が歌ってもしようがないと思うので。ラスト「夢で逢えたら」は良い選曲。

キーボードはアコなっちツアーでおなじみの岩崎肇さん。ギターは最後に紹介されていたけれど忘れた(失礼)。狭い空間だけに、二人という薄いバンド編成でも音色がとても美しい。アコなっちツアーでははっちゃける岩崎さんもこちらではバックミュージシャンに徹する。少し物足りなく思うのはなっちファンのエゴ。

少し辛口なことも書いたけれど、ファンのマナーの良さから始まって、バックの音色の美しさ、もちろん藤本美貴の歌・トークととても充実した時間だった。

しかし、最後に最大に残念なこと。はじまりが15:30過ぎ。終了が16:50前、公演時間が実質75分ってちょっと短くないかい?

投稿者 althusser : 2008年08月09日 23:17

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