重層的非決定?

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2008年05月06日

■ 愛あらば

ゴールデンウィーク最終日はモーニング娘。コンサート大阪公演最終。

まずは良くなかった点から。バックの音が汚い。アコなっちコンとかトゥーランドットとか、生バンド、生オーケストラになれてしまったためであろうか、あまりの音の汚さに驚愕する。これでは肝心の娘。の歌を鑑賞する以前の問題だ。

思い起こしてみれば、初めていったハロプロコンサート、なっちこと安倍なつみソロコンサート2004あなた色プレミアム、これも音の悪さには正直驚いたものだった。耳が痛くなった。MCも聞き取れない部分が多くあった。それ以前にいったことがあった、安倍なつみよりもはるかにファンが少なく、チケット代もやすく、お金もかけられなかったであろう、さるアイドルのコンサートとの「差」にとても残念に思った。それも今は昔、2007年度の安倍なつみのコンサートは良いものになった。しかし肝心の「本体」のコンサートがこれでは。これでは「高かろう、悪かろう」だ。

しかしそうした悪条件の中でも、娘。たちのパフォーマンスは良かった。歌はとにかく音響が悪くて、ちょっと評価が難しいところがあるが、踊りは見事なものだ。狭いステージ、段差があちこちにあって、とても不自由な空間での集団のパフォーマンスにもかかわらず、実に器用に見事に踊りを披露できていた。可愛く、美しく、きらびやかに。

また往年のシングル曲を全て披露するということで、その当時のメンバーのパフォーマンスとの比較などをいちいちしたくなったりするのではないか、「やっぱりここのパートは誰それでなくては」などと思ってしまうのではないか、と懸念する想いもあったが、心配は無用だった。ほとんど全ての曲が、今のモーニング娘。の曲になっていた。かつてテレビで「LOVEマシーン」をそのときの現メンバーで披露したときには、オリジナルメンバーとの「差」を感じて、ちょっとつらく思ったことがあったが、今日見た「LOVEマシーン」にはそうしたよけいな思いをすることもなかった。そして「抱いてHOLD ON ME」とか「サマーナイトタウン」に至ってはあたかも現メンバーのために作った曲であるかのように実に上手くはまっていた。

ソロコーナーで披露された新垣里沙の「真夏の光線」、これも良かった。明るい中にもどこかにはかなげな雰囲気を漂わすこの曲は、当時の安倍なつみに実に上手くはまっていた曲だった。そしてそれを今新垣里沙が歌う。何の違和感もなかった。もう今の安倍なつみがこの曲を歌っても、あのはかなげな雰囲気は出てこないだろう。すっかり新垣里沙の曲になっていた。

道重さゆみの「ふるさと」は苦笑と感動が相半ばする。歌っている本人が上手く歌えていないことを自覚しているのが伝わってくる、しかし必死に歌っている。彼女には荷が重い歌だが、それでも彼女にはあえてこの曲を歌うだけの思い入れがあるのだろう。それが伝わってきたから、良い歌唱だったと思う。

亀井絵里の「涙が止まらない放課後」、これはオリジナルがひどすぎたので、亀ちゃんの歌唱力があれば、良くなるに決まっている。実際、オリジナルは「歌」を超越した何物かだったが、亀ちゃんバージョンはふつうに聞くに堪えるふつうの歌になっていた。亀ちゃんのかわいらしい雰囲気が良く伝わってくる。曲自体は良曲とは思わないけれど、亀ちゃんバージョンなら好きになれるかもしれない、と思う。

田中れいなの「Memory 青春の光」。これは比較の対象がオリジナルではなくて、昨年秋アコなっちコンサートで披露された安倍なつみ・保田圭バージョンになってしまう。二人でハモって、バックは生演奏、これが相手では歌唱力以前に勝負にならない。おまけに保田圭・安倍なつみ、この曲は相当歌い込んでいて、絶品中の絶品。れいなはれいなでよく声ものびていて、頑張っていたとは思ったが。

全体の構成として、モーニング娘。が出したシングル全てを披露するという売りの本コンサート、アンコールの二曲を含めて、全シングルを網羅することになる、というのは仕方がないけれど「アンコール」としてはちょっといまいち。本編で全ての曲を披露して、アンコールでは再度最新曲「リゾナントブルー」とそして隠れたデビュー曲「愛の種」を歌う、とかすれば私は感涙ものだったのだが、まあ無理か。

いずれにせよ、「今の」モーニング娘。は最高だ、と力説したくなったのだが、しかし私、実は公演時間の9割近くずっと高橋愛ばかり見ていたんだよな。説得力のない話だ。だってやっぱ他のメンバー「子ども」なんだもん。頑張っている子どもの姿よりも大人の洗練された芸を見たいタイプなもので。他のメンバーは皆「可愛い」のだけれど、高橋愛だけは「美しい」。この「差」は私にはいかんともしがたい。

投稿者 althusser : 2008年05月06日 23:22

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