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2008年05月04日
■ トゥーランドット感想文
舞台全体の感想。
ミュージカルってある程度抽象度を上げれば、ストーリー展開って似たものが多いのかしら。私には私が見た三本のミュージカル、「リボンの騎士」も「白蛇伝」も今回の「トゥーランドット」もすべて同じストーリーに思えてしまった。支配者がいて、支配者であることの苦悩に加えて、愛にも苦悩する。それにつけ込む悪者がいて、しかし愛の力でその困難を打ち破り、人間としての自信と喜びを回復する、とかそんな感じ。ま、三本しかミュージカルを見ていない人間が何を言うか、という感じだが、見た三本がすべて同じパターンだと、ちょっとね。
音楽は前二回と比較して、今回は特にとても迫力があって良かった。生のオーケストラにコーラス、それをバックにすれば、中村獅童のへなへなの歌でもまあ、それなりに聴ける。安倍なつみの歌に関しては、まあこれぐらいは彼女なら出来るでしょ、と思っていた。アーメイと安倍なつみの差は私には感じられなかった。岸谷五郎も結構歌えている。
演技は、アーメイの日本語は、まあしょうがない。女帝陛下は高貴なお方なのだから、庶民とは言語が違うのだ、とか何とか思えば、イントネーションの違いとかは無視してもよいと思う。ただやはり演じている本人が日本語に自信がないのがみえみえで、毅然と言い放つべき台詞が腰砕けになっているのはいただけない。だから前半の苦悩する女帝陛下の場面ではそれほど違和感はなかったが、最終場面、国の立て直しを決断したあたりの説得力がまるでなかったのが私には辛かった。それもあって、後半部分がやたら間延びして感じられた。
中村獅童の悪役っぷり、岸谷五郎の勇者、狂言回しの北村有起哉 、そしてどっしり、しかし何か腹に抱えた従者の小林勝也、いずれもきちんとはまっていたと思う。早乙女太一は、まあそういう役所なのだろう、ひたすら「若」かった。そしてやたらと威勢のいい「召使い」の安倍なつみ。必要以上に可愛い。
話の展開は、上に書いたように後半が間延び、女帝陛下が退位して民主化を決断、とかそういう妙な「おもねり」は不要だし。ここはもっとベタに勇者カラフがトゥーランドットと協力をして、民のためになる善政を敷いた、とかそんなぐらいで良かったんじゃないか。悪役ワン将軍を倒した後、カラフが去って、トゥーランドットが国を立て直し、民主化を宣言したときにカラフが戻ってきて、めでたしめでたし、ってのが勇者カラフの役割をぼやけさせて、話のぐだぐだ感を醸してしまったように感じた。
総評。私が見た三本のミュージカル、すべて私にとってはミュージカルとしては同価値、どれも行ってよかった。でも今回のが、他二本と比べて、段違いにレベルの高いものであった、とは感じなかった。一点、2500円のパンフレット、これは段違いで良いものであった。
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