重層的非決定?

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2008年01月15日

■ モーニング娘。のファンはどこへ行ったのか

ハロプロ楽曲大賞の「推しメン部門」の結果を分析するよ、シリーズ番外編の2。

前書きー飛ばしてもOK

本編では全投票数に占める各メンバーへの投票の割合ベースで計算をしていたが、これはハロプロ全体のファンの減少はとりあえず見ない、というやり方。これを実際の投票数(実数)ベースで同じ事をやると、モーニング娘。やそのOGの衰退はもっと顕著になるし、Berryz工房はむしろ減少傾向にあるし、℃-uteの勢いももっと少なめに出る。そっちの方がハロプロの現状を正しく示しているとはいえるけれど、そうしなかったのは都合の悪いことには目をそらしたかったから、ではなくて、2004年から2005年にかけては投票数が大幅に上昇していたから。もちろん2005年にハロプロが隆盛を迎えたかというとそんなことはなくて、単に企画への参加者が様々な理由から(有り体に言えば企画の知名度が上がったとかそんなこと)増えた、というだけのことであり、そのため2004年からの動向を見る上では非常に見づらいデータとなってしまっていた。その影響を排除するために実数ではなくて割合ベースで結果を出したということ。

でも今いったように実数ベースの方がハロプロの実情がよく分かる意味もある。その場合少しもったいないけれど2004年のデータは捨て去って、2005年から3年分のデータを用いると良いだろう。つまり2005年の投票者数が企画としての頂点と見なして、そこからの減少は投票者のハロプロへの興味が損なわれたからだ、と見なすことにする。いったん投票すれば、後はハロプロへの興味が一定レベルで持続していればその次も投票するだろうという考え方。

これでデータを出し直しても、先に述べたようにそれほど何かが代わるわけではないが、割合ベースでは見づらかった結果が出てきたので、それだけ紹介。

本編ではモーニング娘。OGからファンが離れることがBerryz工房・℃-uteへの支持上昇に繋がったのだ、と述べた。ただその際、元のOGメンバーファンが応援対象(「推し」)を変えたのか、それともハロプロファン自体を辞めて相対的にBerryz工房・℃-uteの支持率が上がったのかが見えてこなかった。そこを少し見やすくしようという試み。

つまりここでやろうとしているのは「モーニング娘。のファンはどこへ行ったのか」を可視化しようということである。

用いるのは2005年から2007年にかけての得票数の推移。2005年12月投票分から2006年12月投票分にかけての得票数の増減を「2006年」の増減、同じく2006年12月投票分から2007年12月投票分にかけての得票数の増減を「2007年」の増減とする。そしてそれをグループごとに集計したものが下表である。

グループ2006年2007年2006年-2007年
a.非娘。エルダー・ソニン-17-29-46
b.娘。OG(除W)-139-100-239
c.W-74-29-103
d.継続在籍メンバー10-60-50
e.7,8期メンバー23-617
f.Berryz工房-21-16-37
g.℃-ute503686
h.エッグ・キャナァーリ142337
投票数減分-154-181-335

この表を見るだけでも結構興味深いところがある。Berryz工房は(今回のデータの始まりである)2005年を頂点としてファンは減少し続けている。ファン数を実数ベースでのばしているのは℃-uteとその後の世代(ハロプロエッグとキャナァーリ倶楽部)、および2005年以降の娘。加入メンバー群である(Berryz工房も含めてこれらを「新世代」とここでは呼ぶ)。

またメンバーが二人のダブルユー(W)がその活動を停止して以降、劇的にファンを減らしていることも見て取れる。その他の娘。OGも2006年にファンを劇的に減らし、娘。現メンバーである「継続在籍メンバー」も2007年には大いに苦戦した。そして2007年は投票数自体も大きく減っている。

ちょっと長めの補足説明ー飛ばしてもOK

少し補足しておくと、Berryz工房・℃-uteとも「卒業」メンバーはそのまま数に入れている。今回の目的が娘。ファンの動きなので、ベリキュー内でのファンの移動は便宜上なかったことにしたいからだ。また一番下の「投票数減分」が要するにハロプロファンを辞めた人の人数と見なすことになる。

ここで2005年12月時点でのモーニング娘。とそのOG、およびそれ以外のエルダークラブ(美勇伝を含む)メンバー(a,b,c,d)をここでの「旧世代」と見なすことにしよう。この「旧世代」のファンが2年たってどのように動いたのかを可視化しようとしているわけだ。この旧世代の2005年時点のファンの総数は891人である。同じメンバーの2007年12月時点でのファンの総数は453人になっている。半数近くに減ってしまったわけだが、この減った分がどう動いたのか、一つのモデルを立てよう。

もちろんファンを辞めてしまったものがいる一方で、新たにファンとなった、あるいはこれまでもファンであったが2006年分から投票を行ったファンもいるだろう。まずそのプラスマイナスは相殺する。同じく「旧世代」のファンから「新世代」(e,f,g,h)へ「推し」を変えたファンもいる一方で、逆に新世代から旧世代に「推し」を変えるファンもいるだろう。そのプラスマイナスも相殺する。これらはデータ上からは見えてこないからである。

また「新世代」でありながらファンを減らしているBerryz工房については、その減少分(37名)はすべてファンを辞めてしまったものと見なす。本当は℃-uteやそのほかへ「推し」を変えた人も多く含まれるはずであるが、ここでは「旧世代」の動向を見たいので、このような処理をする。この処理をした影響については後述する。

このような処理を行った結果、2005年12月段階での旧世代(表中のa,b,c,d)のファンがその後2年でどう動いたのかをモデル化したグラフが下図である。

旧世代の動きの円グラフ「そのまま51%、推し替え16%、ファン卒33%」

2年間「旧世代ファン」にとどまったものが51%、旧世代のメンバーから新世代のメンバーに「推し」を変えたもの16%、そしてハロプロファンであることを辞めてしまったもの33%となる。

ちなみに先にBerryz工房のファンの動きについて施した処理により、「推し」を変えたファンの比率が高めに出ている。つまり旧世代から新世代への「推し替え」は多めに見積もっても16%にとどまるということだ。

さらに先に述べたように新たに「新世代」メンバーのファンとしてハロプロファンになった投票者は、ハロプロファンを辞めてしまった「旧世代」メンバーファンと相殺され、上のグラフ上では「推し替え」をしたファンとして表現されている。つまりこの16%というのはかなり膨らました数字なのである。それでもこの程度なのだ。

もし事務所がモーニング娘。(現メン・卒メン)のファンを「新世代」メンバーのファンへ移行させようと動いているのだとして、そのもくろみはうまくいっているのだろうか。単にファン離れを招いているだけ、という気がしないでもない。もちろん放っておいても「旧世代」メンバーのファンは離れていくのだから、少しでも「新世代」に引き継げただけまし、なのかもしれないが。個人的には「旧世代」をもり立てていってもらいたいが、旧世代ファンのポテンシャルはまだまだ眠っているものと思うが、ハロプロファンを辞めた、辞めそうな人を呼び戻せるような策もありだと思うが、それはまあ、「旧世代」ファンの戯れ言ということで。

投稿者 althusser : 2008年01月15日 23:08

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