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2004年12月03日
■ 例えばこんな御伽噺
あれやこれやと書いてきたけれど、結局言いたいことはただひとつ、「だって、可哀想じゃないか」。それだけ。
たとえ話をひとつ。それは私の中の心象風景だから、細かくそれとこの件とはここが違う、とかそういう突っ込み無用。
無邪気で、ちょっとお馬鹿な高校生の女の子がいました。その子は花が大好きでした。彼女の登下校道にきれいな花がたくさん咲いている原っぱがありました。彼女はいつもその花を見てはうきうきしていました。とてもきれいな花、とても可愛い花が咲いているのを見かけると、彼女は時々そっと一厘摘み取って、自分の部屋に飾っていました。
でもその原っぱは実はきちんと売りに出すために近所の農家の人が大切に守ってきたお花畑だったのです。その花を摘み取っていたことが分かって、学校中が大騒ぎになりました。誰かが彼女の通う学校にそのことを告げ、学校中に彼女のことを泥棒呼ばわりするビラがまかれたのです。
クラス中が彼女をなじりました。トイレには彼女の悪口を書いた落書きでいっぱいになりました。教室の黒板にも悪口。担任の先生はあわてて先方に謝罪に走り、彼女に自宅謹慎を言い渡しました。それでも彼女への非難はやみません。彼女がいつ復学できるか、分かりません。今は彼女の親しい友人たちが方々に謝罪に回っています。
担任の先生が、なんか頼んないんだよ。あるいは顔が見えない。仕事はしているみたいだけど、どっちを向いて仕事をしているのかが見えない。
彼女がしたことは、こんな公開集団いじめ(本当は別な言葉を思いついたが、それは却って傷深くする言葉だから変えた)に合わなければならないことなのだろうか。そして彼女の近しい人が彼女を守ろうとすることさえ躊躇し、あるいは非難されなければならないことなんだろうか。
私は、曲がりなりにも「盗用」とか「剽窃」とかに、一般以上にうるさいアカデミズムの世界に片足を突っ込んできた。それでも私はいまは目がにごっているのだろう。しかしそれに付けても世間の人々がこれほどまでに著作権とやらに敬意を表しているとは知らなかった、そんな皮肉のひとつも言いたくなる。
でもそんなことはどうでもいい。ただただ可哀想じゃないか。
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