重層的非決定?

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2006年11月23日

■ 白蛇伝

ようやくなっちこと安倍なつみ主演ミュージカル「白蛇伝」に行ってきた。

ネタバレは気にしない方なのだけれど、自分が見ていない舞台の感想を読んでも、共感の仕様もなく、というそんな拗ねた心性でほとんどこのミュージカルのレポートなどは見ていなかった。だから、客の入りがどの程度とかそういう情報もなかった。

大好評だったモーニング娘。のミュージカル「リボンの騎士」でも、客入りは6割ぐらいで、当日券で入れない可能性など絶対になかったので、会場が違うから当然観客収容人数も違えば、日数も違うということは無視して、当然同じように当日券で問題なく入れるものと信じていた。それでも念のため、朝7時に起きて、午前11時東京着ののぞみに乗る。おぼろげな記憶によれば11時から当日券販売とかいっていたような。

東京駅から会場まではたいした距離はないと思って歩いたが、道に迷って結果会場着が11時20分ぐらい。すでに先客が数名並んでいる。まだ販売前のようだ。

係員が出てきて、当日券は12時から受け付けるが、発売されるかどうかはまだ調整中で分からない、と頼りないことをいう。おいおい、こっちは新幹線代往復3万円弱使っているんだぞ、と心の中でぼやいてみても仕方がない。もし当日券が販売されなければどうしろというのだ。千葉で娘。がコンサートやっているのだっけ、大急ぎでそっちに行けばチケットあるだろうか、とか考える。正直こんなに頼りない話なのだったら、わざわざ新幹線使ってまでくることはなかった。どちらかというと空席を埋めにきた、ぐらいの気持ちだったのに、そんなに席って埋まるものだったのか。半分は安堵するのだけれど、現にお金を使ってしまったこちらとしては気が気ではない。

結局当日券は5-6枚だけあるという。前の人数を数える。4番目。危ない、危ない。

当日券待ちの列は普段のなっちコンサートの客層とそれほど違いは感じなかったのだけれど、次第にチケット持ちの人が集まってくると客層の幅の広さにも驚く。そうか、これは安倍なつみのミュージカルではなくて、白蛇伝というミュージカルの主演が安倍なつみというだけなのだ、と今更ながらに気づかされる。

客層が違えば、変な応援する人間の割合も減って快適か、といえば、そんなことはなかった。餓鬼もといお子様比率が高くて、私の隣に座った親子連れの餓鬼お子様が糞餓鬼いささか態度のよろしくないお子様で、始まって10分ぐらい経ってちょっと登場人物が下がったら、「もう終わり?」などと隣の父親に確認をしている。始まったばかりじゃねえか、と頭をどつきたくなでて差し上げたくなるのを堪える。

その後もその餓鬼お子様、何かあるごとに「もう終わり?」と確認しやがるなさる。自分のところの子どもが、2時間半の長丁場、原作アニメといってもそれほど子ども向きでもない舞台に耐えられる精神の持ち主かどうかぐらい見極められないのか、と親に腹が立った。将来を担う子どもの情操教育なのだから協力するものだろうなどというきれい事は私の頭の中には出てこなかった。何せ歌のたびに私語をするのだ。ミュージカルにおける歌はおしゃべりタイムじゃねえ。逆だ、一番のキモだ、と子どもに頭の中で説教をするが、どうにもならない。

休憩時間中に、その親子連れを含む集団がいろいろ席替えをして(何でもその集団の一組の親子が安倍なつみの熱心な(ちょっと変な)ファンに怒鳴られたとかいうことで、子どものおとなしさの度合いを考慮して席替えをしたようだ)、私の横にいた餓鬼お子様が別のところに行きなさったので、後半はゆったり舞台に集中できた。

全然舞台の感想を書いていなかった。

正直最初は安倍なつみを見に行ったので、それほど劇の中身には関心がなかった。でも結構楽しめるものだ。リボンの騎士もかなり楽しめたのだけれど、あれはどういっても、どこをどう切ってもモーニング娘。ほかハロプロメンバーが舞台上にはいるわけで、何を間違っても退屈はしない構造になっていた(けれど実際には話も結構おもしろかった)のだが、白蛇伝の方は安倍なつみにしか興味がないと正直つらくなる感じだったが、結局話自体も楽しめた。

リボンの騎士がハロプロ「内」の仕事としてとてもすばらしいものを作り上げてくれたのだけれど、こちらの方は完全にハロプロ「外」の仕事として、主役を張り、他の出演者に引け目をとらず演技しているのを見られたこと、これはこの秋シーズンにはなかった安倍なつみソロツアーを見ることよりも私にとって価値のあるものだった。「内」の仕事もいいが、それではいつまでも「アイドル」(しかもアイドルファンは基本「ロリコン」ゆえ、年を追うごとに活動は縮小再生産モードに入る)、こういう「外」の仕事こそ大事にしていって欲しい、と改めて思った。

唯一気になったのが、この物語の主人公、安倍なつみ演じる白素貞に婚約者を奪われた形になる桔梗という女性は、結局最後まで婚約者を奪われたままで終わってしまう(よね?)のだけれど、それでめでたしめでたし、でいいのか、というところ。桔梗ちゃん、ちょっと可哀想すぎるじゃないか、と感情移入して、なんとなくこの役を演じた相沢真紀さんのことを検索してみたら、相沢さんが書いているブログが見つかった。ちょっとファンになりそうになった。

投稿者 althusser : 2006年11月23日 23:01

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