2005年10月23日
■ 電車男系
東京では先週放送分のハロモニ。メンバーで幸せな結婚をすると藤本美貴が思っているのは誰かを嘘発見器から確認するというコーナー。そこで藤本が第二位に選んだのが、高橋愛。なぜ高橋なのかについて藤本が語る。
「これはですねえ、ちょっと申し訳ないんですけど、どうしようもないじゃないですか、高橋愛という、あのー生き物は。私の中ではどうしようもないな、っていう、こうなんかこうだから男の人はそこをかわいらしいなあと思って、尽くしてもらうタイプ」。
それを受けて司会の石川さん、「守ってもらう、ということですね」。
ガキさんに次いで高橋さんと親しい藤本さんの高橋愛感はちょっとおもしろい。確かに「男の人」に「かわいらしい」と思ってもらえるタイプというごく一般的な説明が主軸になっているのだが、そうした理解から、しかし微妙にずれた説明が紛れ込み、藤本さんの説明を攪乱している。それが表に出たのが「尽くしてもらう」という言葉。そのぶれを石川さんは素早く補正し、「守ってもらう」と言い換える。
しかし藤本さんの「真意」はおそらくもとの「尽くしてもらう」という言葉の方に出ているのだ。少し一般的な形で整理しよう。
- AがBに尽くす。
- AがBを守る。
このとき、1のAは「女性」を想像させ、2のAは「男性」を想像させる。このジェンダー規範に従えば、高橋愛という女性アイドル(しかもモーニング娘。においてリーダーの吉澤ひとみやサブリーダーの藤本美貴が一般的に「男性的」と称されるのに比較して高橋は「女性的」なポジショニングにある)は「尽くされる」のではなくて、「守られ」なければならない。それが石川さんが藤本発言を修正した理由だ。そのもとで高橋は、一般的な理解に従った女性的なポジショニングをするものとして安定する。
しかし藤本さんの実感はそうではなかった。藤本さんが最初に選んだワーディングに従えば、高橋は「尽くされる」存在なのであって、それは「駄目男」のポジションだ。そしてそうした駄目っぷりを「どうしようもない生き物」といいながら温かく見守る藤本さんは「母性本能」に満ちた女性の目で高橋さんを見ていることになる。
藤本−男性的、高橋−女性的というある種の見方とは裏腹に、藤本−高橋二者の間では各々の担っているジェンダーはむしろ逆、「どうしようもない」オタク系少年の高橋をおもしろがりながら見守るしっかり姉さんの藤本、という図式なのではあるまいか。
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