重層的非決定?

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2005年07月23日

■ 「靖国問題」

靖国問題

靖国問題

かなり前に購入。平易に議論が進められていて、ざっくり読める。

印象に残った箇所。

日本では、中国は「A級戦犯」合祀を理由に日本の首相の靖国神社参拝を批判することによって、日本の戦争責任を徹底追求しているのだ、という印象が広まっている。しかし私の見方は、ある意味で逆である。中国政府は、この問題を「A級戦犯」合祀に絞り込むことによって問題を限定し、一種の「政治的決着」を図ろうとしているのである。

全く持って見事な洞察と言うよりない。

そもそも当初より中国政府は一貫して「日本人民」の政治責任は問わないと明言し続けてきたのである。むしろ「日本人民」も「軍国主義者」たちの被害者なのだ、と。そういう認識に立った上で、中国政府は新生日本に戦後賠償を求めなかったのである。こうした中国政府の問題の「矮小化」に日本は大いに助けられた。中国からすればそれはある意味「貸し」に近いものであったはずだ。そういう経緯があったはずなのに、中国が最低限責任の主体として措定した「A級戦犯」がまつられているところに新生日本の総理大臣が参拝する。それは中国側からすれば「恩を仇で返」されたことに他ならない。

投稿者 althusser : 2005年07月23日 00:00

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