重層的非決定?

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2008年10月11日

■ Angelic

今日はなっちこと安倍なつみ2008年秋ツアー初日名古屋公演(ネタバレあり)。

バンマスが変わって、バンド編成も大きく代わり、新曲も披露、セットリストは全く不明、という何が出るかな、状態だったのだけれど、結論めいたことをいうと本ツアー最終中野、私が唯一チケットを押さえていなかった公演、本日昼公演後、昼夜チケットを押さえてしまった。ファミリー席はすでに売り切れ、一般席も売り切れ間近という状態だったので、少し焦り気味に押さえられるところで押さえてしまった。

最後まできっちり見守りたいツアー、という感じだろうか。

昼公演、安倍なつみ自体の調子は絶好調とは言えなかった。歌声がバックに負けている。夜公演はちょっと良くなっていた。最後が最高になるわけでもないし、またそうなるのが正しいとも思わないけれど、今回は全公演見守りたいな、と思った。

ライブ全体の印象としては松浦亜弥コンサートに少し近い感じ。ドラム、パーカッション(Asami)、ベース(マー坊)とリズムに厚い。またアコなっち特別バージョン(会場が大きい特別公演)ではつきものであったヴァイオリンがない。そうした意味でポップス系では割と一般的なバンド構成となっていた。

ヴァイオリンは安倍なつみの声にはとてもよく合う。しかし今回はそれを(あえて?)はずす。またアコなっちでは安倍なつみの声を引き立たせるよう、バックは少し抑えた感じの演奏だったが、今回はがんがんと響かせる。主役の声が少し負けているようにも感じられる。

でも今後への期待も込めて、これはこれでありだな、と思った。音が重厚で、しかもアダルトな雰囲気が漂い、とてもいいムード。松浦亜弥コンサートに近い、と書いたけれど、それはアコなっちとの比較においてそうだというだけで、実際の音作りはまた全然違っているように聞こえる。松浦亜弥コンサートの演奏が(悪い意味ではなく)アイドルポップの音色だとしたら、こちらはもっとアダルトロック(そんな用語があるかどうかは知らない)な感じ。リズムが強いから、がんがん暴れたい人も満足できるかもしれないし(アコなっちはそうした人たちからは不評であった)、私ならどちらかというと赤ワイン片手にじっくり聞きたい感じの仕上がり。アコなちがやや好き嫌いが出るアレンジだとしたら、こちらの方がハロプロファン全般に幅広く受けるだろう。特に音楽にはうるさいと自認しているハロプロファンには是非来て、聞いてもらいたいと思う。安倍なつみのことがことさらに嫌いでなければ、きっと満足できると思う(関東圏のチケットは残り少ないのでお早めに。大阪はまだ余裕っぽいので是非)。

コンサート全体の作りもアコなっちとも松浦亜弥コンサートともいろいろ違っている。アコなっちが安倍なつみのやりたいようにやらせた感じだとすると、今回はそれと比べるとかなりミュージシャン主導という感じがする。恒例となったなっち先生の振り講座だけは死守した感じだが、それ以外はなっち的遊びの要素が減り、まじめに音楽を聴かせようという意図が強く出ている。MCも少し抑え気味。遊びの少なさは松浦亜弥コンサートとの比較でも同じ。衣装替えのとき、松浦亜弥コンサートではあややの声だけのショートコントみたいなのをやって時間つなぎをしているが、このコンサートではずっとミュージシャンの人たちが演奏をしているだけ。だけ、といってもこれがなかなか聴き応えがある。

アコなっちと今回のと、はまっている曲も当然異なってくる。「小説の中の二人」はヴァイオリンのあるアコなっちコンサート(特に昨年の東京厚生年金会館公演)のほうが私は好みだった。一方今回は森高千里のカバー曲「ストレス」、これが実に良かった。この曲がリリースされたときは、CM曲だからシングルとして発売すること自体はいいと思ったが、出来自体は正直あまりいいとは思わなかった。それが今回のアレンジでは実にすばらしい曲になっている。

そのほかにもアコなっちでは取り入れられなかった懐かしの名曲が続々。期待の「空LIFE GOES ON」は当然のごとくセットリスト入り。アコなっちバージョンでも聞いてみたかった曲だが、今回のアレンジはなかなかいい。あと、これはたぶんなかろうと思って事前には書かなかったけれど、実は私が密かに期待していたファーストアルバムの名曲「ひとりぼっち」が来た。実をいうとその当時私は安倍なつみは歌唱力ではそれほど評価していなかった。この曲をCDで聞いて、そして2004年のコンサートで歌っているのを聞いて、安倍なつみの歌唱力について大幅に見直したものだ。それだけに思い入れもある。泣ける。「ピロリン」で有名?な「恋のテレフォンゴール」、これは二度と聴けるとは思っていなかった(し、正直言ってそれほど聴きたいとも思っていなかった。けれどやっぱり聴けて良かった)。2000年ハロプロ絶頂期の「手抜きユニット」の唯一の名曲「黄色いお空でBOOM BOOM BOOM」も久々。

また冒頭で安倍なつみの歌唱をいまいちっぽい書き方をしたけれど、「空LIFE GOES ON」「ひとりぼっち」ほか、押さえるべきところはしっかり押さえられていたので、全体の印象は悪くなかった。

普段はMCの内容も頑張って思い出して記録するのだけれど、今回はパス。まあ、思い出して特に書き留めておきたいことがあったら追記するけれど。MCはいつものなっちで、いつも通りおもしろかった(し、あらためて文字で書き直しても全然おもしろくならないのもいつも通り)けれど、今回のコンサートの肝とはほど遠い気がする。今回は、とにかく音を楽しめ、と訴えかけてくるかのような、とてもまっすぐに音楽を追究したコンサートだった。


確証はないけれど、アコなち、今回のAngelicツアー、ほか現在の安倍なつみの音楽面を仕切っている実質のプロデューサー?は今回ギター担当のDr.Kこと徳武弘文氏ではないか、と思われる節があって、そうだとするとアコなちと今ツアーとの個性の違いは実に見事という気がする。

そうでなくとも徳武氏、柔らかな雰囲気の中でも演奏中の表情は実に厳しく、音楽に対してとてもまじめにシビアな人なんだなと言うのが常に感じられ、それが頼もしい。アコなちのバンマス岩崎さんは安倍さんを娘感覚で見ていて、それはそれで安倍さんにとってとても力強いことなんだけれど、徳武さんのようにちょっと厳しい雰囲気の人がいるとまたちょっと空気がかわり、緊張感が出て、これまたいい感じ。

投稿者 althusser : 2008年10月11日 23:48

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