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2006年04月12日
■ 妄想の愛
劇団ひとりの短編小説集「陰日向に咲く」所収の「拝啓、僕のアイドル様」だけを読んだのだが、最初はその妄想の世界に非常に共感して読めたのだが、最後の落ちにがっかりした。あるいは私が誤読しているのだろうか、と思ってほかのところも流し読んでみたが、そこまでの誤読を誘うほどトリッキーな小説でもなさそうだった。
ネタバレで書くけれど、なぜ妄想の世界をそこで完結させなかったのだろうか。妄想の世界を中途半端な「現実」と接続してしまった瞬間、妄想はもろくも現実の前に敗れ去る。せっかくの「愛の妄想力」を自ら無効化してしまった。最後の落ちも妄想だったのだ、と言うのならまだ分かるが、それでも妄想は過去に逃げてはいけない。妄想は常に未来に開かれていなければならない。
投稿者 althusser : 2006年04月12日 00:00
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