重層的非決定

モーニング娘。

L. Althusser

(たとえばモーニング娘。とアルチュセールを*同時に*語る、ということ)

日々思いついたいろいろな話を無責任に書きなぐるモノローグ

幽霊言説

?のつく方にあげたエントリだが、本来こっちにあげるべきエントリなので、こっちにも再掲。

ある事象に関わる二つの立場があったとしよう。仮にそれをA,Bと呼ぶ。その事象について当事者意識をもって何かを述べるものは、A,Bいずれの立場に立って語っているのかが明らかであるというのが一般的だ。もっとも第三の立場というものも成立する。A,Bいずれの立場とも異なるCという立場を取る、それも可能だ。しかし「当事者意識を持って」いる限り、CもまたA,Bと同じ地平にある。ある事象の登場人物として直接は立ち現れてこなくても、Cもまたこの事象に関して一定の利害関係を担う隠れた登場人物としてそこにいる。

こうした「当事者性」を保持した語りとは全く別の言説がある。その事象のどこにも存在しておらず、あるいはその事象のどこにも関わらないことを暗黙的・明示的に語り続ける言説である。その言説には立つ場所がない。何の足場も持たず、ただどこからか漂ってきて、その場限りの言葉を投げ捨てる。その事象に関する利害関係はない(と主張する)、それ故己は客観的だ(と主張する)、そうして事象に関わる利害闘争には巻き込まれず、己の安全は担保にとって、事象に対して言葉を投げ捨てる。このような言説を「幽霊言説」と呼ぼう。

2chは匿名を基本とするが故にこの「幽霊言説」を生産し続ける。しかし匿名性が幽霊言説の本質ではない。ただ自分は事象とは直接関わらず、すなわちAともBとも独立の立場であることを表明し、しかるにCの立場性を説明もしないでいることこそがこの「幽霊言説」の構造である。

この幽霊言説は鵺のように立場を自由に移動させうる。ああいえばこういう、それが可能である。少なくとも正体を明かさず、あれこれいうのだから、まずはおまえは何者かを問うところから始めないと話が始まらないのだが、その正体を明かすことをひたすら遅延し続ける。時には法律だ、一般常識だ、それを振りかざして己の立場を明かさない。

不毛だ。疲れる。

企業による言論封殺

「オリコンチャート」記事めぐりジャーナリストに賠償請求 「言論妨害では」と批判も

いくら何でもこれはひどい。こんなことがまかり通れば、ありうべく企業批判がすべて封殺されてしまう。

もうモーニング娘。がオリコン一位だ何だなどとくだらないことで一喜一憂するのは永遠に止めることにする。このような言論封殺企業をのさばらせるわけにはいかない。私はオリコンという会社の提供する「商品」を今後一切黙殺することにする。

追悼

戦後守られ続けてきた「理念」の死んだ日。

炎上の火種

「宿題」を残したままで日にちが過ぎて、もうネタとしての新鮮みも何もなくなっているのだが、私の中では現在の言説状況を見極める上で結構重要な論点を含んでいると感じているので、「宿題」は継続中。そもそも「新鮮」さだけで反射神経的に何かをいわんとするいまの匿名掲示板文化がブログやさらには「言論」の世界まで覆っていることこそが問題なのだ。

おまけに「宿題」はかなり論点が込み入っていて、順番にきちんと解きほぐしていかなければならない。

とりあえず「宿題」の素材となる池内ひろ美の考察の日々 期間工(再掲)なるエントリについて、私は一読不愉快になった。この不快感と同質の不快感が本ブログ「炎上」の種火となったことは疑いない。

一方この「炎上」を大火災にまで押し広げた原動力となった燃料の一つに「嫌韓」感情があったこともまた確かである。このブログの書き手とある韓国人とのある「関係」が取りざたされ、炎上への燃料提供がなされたのだ。

そしてその限りにおいて、この「炎上」は非常にありきたりの、つまらないものである。2ch発の、典型的「ネットウヨ」による炎上劇。しかしあらためて思い起こさなければならないのは、炎上の「種火」の方だ。いじめも「炎上」も同じ構造を持っている。いったん攻撃対象とされたものを攻撃し続ける燃料は*どこからでも*備給できる。既に攻撃することが目的化されており、一つの閉ざされたシステムが既に構成されている。

攻撃*する*側にとって問題なのは、最初の「不快感」の方だ。攻撃される側、あるいはそれらを調停する側にとっては、徹底して問題なのは閉ざされ暴走するシステムの方なのだが、このシステムを解体することこそが、問題解決への筋道なのだが、攻撃する側への「治療」には攻撃対象を選ぶその選択にこそ「問題」が宿っているのだ*1。

この「問題」を解きほぐす上でのキーワードは、ありきたりだが「ルサンチマン」である。そしてこのキーワードをたてたとき、「右傾化」というくくりでは理解できない現在のネット言説状況が現れてくるだろう。

この項、続く、予定。

*1 ここは非常に慎重な記述が求められるところである。「なぜその対象が選ばれたのか」という問いを攻撃される側に突きつけてはならない。攻撃される側にとってはそれは徹底的な問題であって、偶発的にやってきた「攻撃」がシステムの中で拡大し、暴走することだけが問題なのだ。

匿名は偉いのだ

「宿題」を残したままなのだが、仕事がたまっていて、時間がとれない。おまけに月曜日から土曜日までずっと東京で仕事だ。年末までずっとその調子。

一点だけ、件の「宿題」に関する話。2ch当該スレッドを見ていて、まず驚かされたのが、「他者への罵倒なら2chにいるおまえたちがいつもやっていることではないか」という2ch内当該スレッドでの指摘に対する「自分の個人情報をさらして他者を批判するなんてもってのほか。(2chにいる)自分たちは匿名でやっているのだからよいのだ」という意見。

クレバーか否か、ということでいうならば、個人情報をさらさないで他者を罵倒する2ch住人の方がそうなのだろう。しかし道徳的に「よい」か否かということでいえば、他者を批判するのには自らの個人情報をさらして行う方がずっと誠実であるというのは、言論の場における常識なのだが、そうした常識が通用しないのが2chなのだ。

そんなことは今更驚くまでもないことなのだが、それでも私は2ch住人といえども、多少なりとも引け目を感じつつ匿名で他者を罵倒しているのだと思っていた。匿名であることに積極的な誇りを持っている、というその感覚はやはり私にはどうにも理解しがたい。